研究課題/領域番号 |
20K09425
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 大介 北海道大学, 大学病院, 講師 (90528845)
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研究分担者 |
照川 アラー 北海道大学, 医学研究院, 助教 (00723074)
清水 智弘 北海道大学, 大学病院, 助教 (60784246)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 破骨細胞 / インターフェロンシグナル |
研究実績の概要 |
マクロファージ由来因子であるCardiotrophin Like Cytokine Factor 1 (CLCF1) が、骨粗鬆症患者において骨密度の低下と相関をもって減少することから、CLCF1が骨粗鬆症の新規治療ターゲットになると仮説をたて、CLCF1が骨粗鬆症や破骨細胞・骨芽細胞分化に与える影響を検証した。卵巣摘出による骨粗鬆症モデルマウスにCLCF1を投与しマイクロCTにおける骨構造解析を行ったところ、骨粗鬆症モデルマウスでは骨量減少がみられたが、CLCF1投与により骨量減少の改善がみられた。マウスの大腿骨組織標本において、骨粗鬆症モデルマウスでは破骨細胞分化亢進がみられたが、同様にCLCF1投与によって破骨細胞分化亢進の抑制効果がみられた。またCLCF1投与によって骨芽細胞分化については抑制効果を示さなかった。続いてin vitroにおいて、CLCF1の治療効果を検証したところ、RANKL刺激による破骨細胞分化と骨吸収促進がCLCF1投与により改善され、骨芽細胞分化についてはマウスモデルと同様に抑制効果を示さなかった。また、RNAseqによるメカニズム解析では、インターフェロンシグナルに関与するマーカーが上昇しており、ウエスタンブロッティングにおいても同様の結果が得られた。以上のことから、CLCF1はインターフェロンシグナル経路を介して骨芽細胞分化を抑制することなく、破骨細胞の分化を抑制することで骨粗鬆症の新規治療ターゲットとなり得ることが示唆された。今後同様に、他のマクロファージ由来因子にも着目して、骨粗鬆症や病的骨吸収に与える機能解析を行い、それらを比較して最も有効かる副作用が少ないものを検索していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マクロファージ由来因子であるCLCF1が骨粗鬆症モデルマウスにおいて治療効果を有することが証明された。またin vitroの実験で、CLCF1がインターフェロンシグナル経路を介して破骨細胞分化抑制に働くことが示された。
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今後の研究の推進方策 |
骨粗鬆症の治療ターゲットとなり得る他の抗炎症マクロファージ由来因子にも着目し、同様の実験を行い、CLCF1と比較を行う。それらの因子が作用するメカニズムから骨粗鬆症のメカニズムのさらなる解明を行い、より効果的な治療ターゲットを模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗炎症マクロファージ由来の他の因子について着目し同様の実験を行うとともに、ノックアウトマウスを用いてその着目した因子の作用について検証する予定であるが、ノックアウトマウスの準備に時間を要している。ノックアウトマウスが届き次第、卵巣摘出による骨粗鬆症モデルマウスを作成して、評価を行う予定である。
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