研究課題/領域番号 |
20K09430
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡邊 慶 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40597671)
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研究分担者 |
古賀 寛 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (20838601)
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
大橋 正幸 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (70706720)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 成人期脊柱変形 / 骨格筋減少症 / コホート研究 / 慢性腰痛 / 脊椎アライメント / quality of life |
研究実績の概要 |
令和2年度には10月に新潟県阿賀野市での住民302名(女性287名、男性15名、年齢72.1±5.7歳)を対象に、脊椎アライメント・運動機能・腰痛および歩行能力の低下する運動器障害であるロコモティブシンドローム(ロコモ)に関する評価を行った。立位矢状面アライメントの評価はスパイナルマウス(Index Ltd., Tokyo, Japan)を使用し、spinal inclination angle(SIA)を評価した。質問票はOswestry disability index(ODI)、腰痛VAS、ロコモ25質問票、SF-8を使用した。運動機能は、握力、開眼片脚立位時間、最大一歩幅(いずれも左右平均値を使用)、timed up and go test (TUG)を測定した。体組成計を使用してbody mass index(BMI)、skeletal muscle mass index (SMI)、体脂肪率を測定した。本調査においては、体幹のアライメントの前傾(SIA増加)が最大一歩幅やTUGなどの運動機能および腰痛強度やロコモティブシンドロームの悪化(ロコモ度0からロコモ度2)と統計学的に関連していた(全てp<0.01)。またロコモ度の悪化により歩行バランス、腰痛強度および腰痛関連QOLも有意に悪化していた(全てp<0.001)。しかし、骨格筋量と姿勢、各種運動機能、腰痛および腰痛関連QOLとの関連は明らかではなかった。本横断調査から、脊椎アライメントと運動器機能の維持・改善を目指した運動療法などの介入が、腰痛およびQOLの改善に寄与する可能性が示された。 また他のコホートを対象とした横断調査も予定していたが、COVID-19禍の影響もあり、評価の実施は見合わせた。令和3年度には今年度の阿賀野市コホート研究調査に加えて、姿勢評価機器の更新を行い埼玉県行田市整形外科クリニックでの100名以上を対象とした姿勢、運動機能、腰痛およびQOL調査の実施を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は予定していた複数宇の住民コホート調査の中で、一カ所のみの横断調査を終了した。多数の住民を対象とした調査であり、COVID-19禍の影響が大きく、他の集団を対象とした調査は実施が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度に実施した農村地区における住民コホート調査は、令和3年度にも継続して実施する予定であり、さらに一般の内科検診データも活用して、成人期脊柱変形進行の寄与因子を包括的に解析する予定。また、令和3年度には新たに都市部における住民を対象として、同様の調査を実施して、地域差も加味した解析を実施する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度の住民調査が予定より縮小し、一カ所のみの実施となり当該助成金が生じた。令和3年度に実施する関東地区の都市部における住民調査のため、次年度の助成金と合わせて脊椎アライメント計測のためのスパイナルマウスとデータ集積・解析用のPCを購入する予定としている。
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