研究実績の概要 |
令和1~2年に新潟県阿賀野市で、地域型コホートとして、女性住民361名(平均年齢71.1歳)を対象に、また令和3年~4年に埼玉県行田市整形外科クリニックで、都市型コホートとして、女性患者289名(平均年齢73.1歳)を対象にベースライン調査を行った。ベースライン調査では、脊椎アライメント・運動機能・腰痛および腰痛関連QOL、運動器障害であるロコモティブシンドローム(ロコモ)、骨格筋減少症(サルコペニア)、フレイルに関する評価を行った。立位脊椎アライメントの評価はスパイナルマウス(Index Ltd., Tokyo, Japn)を用いた。運動機能は、握力、開眼片脚立位時間、最大一歩幅、timed up and go test (TUG)を測定し、体組成計を使用して骨格筋量を測定した。 これまで、阿賀野市の調査データから、腰痛とロコモの進行度との関連を明らかにした(Tashi H, Watanabe K, et al. J Orthop Sci, 2022)。脊椎アライメントについては、体幹の前傾化によってロコモ度、腰痛関連QOLが悪化しており、spinal inclination angle>5°が閾値であることを明らかにした(Yahata M, Watanabe K, et al. BMC Musculoskeletal Disord, 2023)。さらに、フレイルと腰痛、QOL、ロコモ、最大一歩幅との関連(田仕英希、渡邊慶、ほか. 日整会誌, 2022)、脊柱を支持する体幹筋力と静的・動的バランス機能、歩行機能との関連も報告した(高橋郁子、渡邊慶、ほか. 日整会誌, 2022)。 これらの横断調査から、脊椎アライメントの維持、体幹筋力の維持・改善が、歩行機能やバランス機能、腰痛および腰痛関連QOLの維持・改善に重要となる可能性が示唆された。
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