研究課題/領域番号 |
20K09431
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
加藤 仁志 金沢大学, 附属病院, 助教 (30584841)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 転移性骨腫瘍 / 凍結療法 / 免疫増強 |
研究実績の概要 |
本研究では、転移性骨腫瘍モデルマウスを用いて、生体内の局所凍結療法によるがん特異的免疫増強効果(Abscopal効果)を検証し、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)による相加・相乗効果の有無を検証した。 C3H/HeSlcマウスの両側脛骨にマウス乳癌細胞を植え込み、骨転移モデルを作成した。左側腫瘍は局所治療としてCryoablation: CAを施行し(Cryoablation tumor: CT)、右側腫瘍は未治療としてAbscopal効果を評価した(Abscopal tumor: AT)。治療介入として、CAと、抗PD-1抗体腹腔内投与(PD)の2種類を行い、それらの組み合わせにより4群に分けた(Control群、CA群、PD群、CA+PD群、各群n=8)。ATの経時的な腫瘍サイズ縮小率、ELISPOT assayによる定量的免疫評価、そして免疫染色を用いたATへのCD8+細胞浸潤の強度を比較検討し、各群でAbscopal効果の評価を行った。 Cryoablationから14日目の腫瘍サイズ変化率の平均値は、Control群 +81.3%、CA群 --48.8%、PD群 -56.1%、CA+PD群 -62.3%とControl群に比較しCA群、PD群、CA+PD群が有意に縮小傾向を認めた。ELISPOT assayにおいては、Control群に比較しCA群、CA+PD群が有意に免疫上昇効果を認めた。免疫染色では、Control群に比較し、CA+PD群において有意にCD8+細胞が多く観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遠隔腫瘍の縮小効果を示すことができ、CAによる遠隔部への抗腫瘍効果が示唆されたため。また、実臨床を想定した抗PD-1抗体との併用による抗腫瘍効果の相乗効果が示唆されたため。現在、本研究の評価最終段階であり、英語論文を作成も並行して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で示した抗腫瘍効果に加え、遠隔腫瘍の免疫組織学的評価と免疫アッセイ評価をさらに行うことで腫瘍特異的免疫上昇効果を示したい。 免疫組織学的評価として、これまでに観察したCD8+に加え他の免疫関連細胞であるCD4+、FoxP3、Ki-67陽性細胞の浸潤傾向を調べ多角的に免疫上昇効果の機序を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は効率的な予算の執行を行った。購入予定であった薬剤が、実験効率の見直しにより予定購入数を下回ったため505,127円が未使用額となった。 使用計画:今後、免疫染色の外注に予算を使用する予定である。
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