研究課題
本研究では、転移性骨腫瘍モデルマウスを用いて、局所凍結療法によるがん特異的免疫増強効果(Abscopal効果)を検証し、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)による相加・相乗効果の有無を検証した。C3H/HeSlcマウスの両側脛骨にマウス乳癌細胞を植え込み、骨転移モデルを作成した。左側腫瘍は局所治療としてCryoablation: CAを施行し(Cryoablation tumor: CT)、右側腫瘍は未治療としてAbscopal効果を評価した(Abscopal tumor: AT)。治療介入として、CAと、抗PD-1抗体腹腔内投与(PD)の2種類を行い、それらの組み合わせにより4群に分けた(Control群、CA群、PD群、CA+PD群、各群n=8)。ATの腫瘍サイズ変化、ELISPOT assayによる定量的免疫評価、免疫染色を用いたATへのCD4、CD8、FoxP3陽性T細胞の浸潤強度を比較検討し、Abscopal効果の評価を行った。腫瘍サイズの変化は、14日目にControl群に比較し他の3群全てに有意な縮小傾向を認めた(p<0.01)。ELISPOT assayにおいては、CA群とCA+PD群において有意にSPOT数の増加を認めた(p<0.01)。免疫染色においては、CD4はControl群に比較し治療介入群すべてにおいて有意にT細胞数の増加認め(p<0.01)、CD8とFoxp3においてはControl群と比較し、CA群では有意差を認めなかったが、CA+PD群で有意差を認めた(p<0.01)。本研究において、Cryoablation単独による有意な免疫上昇効果およびCryoablationと抗PD-1抗体による免疫効果の増強が確認された。今後、手術加療との併用を見据え他の局所療法に対するCryoablationの優位性を検証していく予定である。
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International Journal of Molecular Sciences
巻: 23 ページ: 9445
10.3390/ijms23169445.