研究課題
最終年度の3年次は、骨粗鬆症性新鮮椎体骨折(Osteoporotic Vertebral Fracture:以下OVF)の骨癒合不全予測精度の向上に向けてAI技術を用いて取り組んだ。OVF研究データベースの急性期OVF583患者のうちデータ欠損のない505患者を抽出した。患者情報やX線所見、MRI所見などの情報を、機械学習モデルで分析した。機械学習は、ロジスティック回帰モデル、決定木モデル、extreme gradient boosting (XGBoost)、random forestを用いた。結果は、各モデルを比較するとRandom Forrest,XGboostモデルのAUCが最も高い精度を示した(それぞれAUC=0.86、0.85)。また、機械学習モデルは、MRI所見、椎体前方高比、椎体後弯角、BMI、VAS、年齢、椎体後壁損傷、骨折高位、喫煙習慣が重要な特徴として評価していることが判明した。本研究課題の3年間を通じて、OVFのMRI画像に対する新鮮椎体骨折自動検出AIシステムと椎体骨折予後予測AIシステムの開発を完遂出来た。またOVF臨床研究における積年の課題であった予後予測精度の向上に対してもAI技術を応用し機械学習モデルの構築に成功できた。これらの技術は骨粗鬆症性骨折の中で最も頻度が高い椎体骨折の一般診療現場における診療成績の改善の一助となり、健康寿命延伸への寄与が期待できる。
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