研究課題/領域番号 |
20K09438
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
河村 健二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (20445076)
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研究分担者 |
清水 隆昌 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (70464667)
面川 庄平 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70597103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨再生 / 骨欠損 |
研究実績の概要 |
本研究では、骨形成細胞シート(Osteogenic matrix sheet)と生体内誘導骨形成膜を融合させることで、骨欠損に対する新しい効果的な骨再生治療法を開発することを目的としている。 令和2~4年度の実験内容の概略は、ラット大腿骨の骨欠損モデルを作製し、生体内誘導骨形成膜に骨形成細胞シートを融合させた際の骨再生能の評価を行った。実験はFischer344ラットを使用したが、当施設の動物実験ガイドラインに従い愛護的操作、除痛、感染予防を徹底して行った。 全身麻酔下に10週齢Fischer344ラットの右大腿骨に10mmの骨欠損を作製し、ロッキングプレートで大腿骨を架橋固定した後に骨欠損部にPoly Methyl Metacrylate(骨セメント)を充填した。あらかじめ同系7週齢ラットの骨髄間葉系幹細胞から作製しておいた骨形成細胞シートを骨セメント周囲に移植した。4週間後に骨セメント周囲に形成された生体内誘導骨形成膜を切開して、骨セメントを人工骨(βTCP)に置換した。人工骨移植後、2週、4週、8週における経時的な骨再生能をレントゲンおよび組織学的に評価した。 骨形成細胞シート移植群では、骨欠損部に経時的な骨再生を認めたが、骨形成細胞シート未移植群では、骨再生は乏しかった。移植から12週後では、骨形成細胞シート移植群では骨癒合を認めたが、骨形成細胞シート未移植群では偽関節になり、プレートの変形や破損を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、生体内誘導骨形成膜に骨形成細胞シートを融合させた場合の骨形成膜の組織学的評価を行い、骨セメント単独で生体内誘導骨形成膜を作製するよりも、骨形成細胞シートを移植した方がより骨形成能の高い生体内誘導骨形成膜が作製できることを明らかにした。令和3年度は、計画通りにラット大腿骨の骨欠損モデルを用いて、生体内で誘導した骨形成膜の骨再生能を評価した。骨形成細胞シート移植群の方が、未移植群よりも骨再生能が高いことがレントゲンおよび組織学的評価で示唆された。令和4年度は、さらに実験個体数を増やして評価を行った。全身麻酔下に10週齢Fischer344ラット20匹の右大腿骨に10mmの骨欠損を作製し、ロッキングプレートで大腿骨を架橋固定した後に骨欠損部に骨セメントを充填した。半数にはあらかじめ同系7週齢ラットの骨髄間葉系幹細胞から作製しておいた骨形成細胞シートを骨セメント周囲に移植した。4週後に骨セメントを人工骨に置換して生体内誘導骨形成膜による骨再生能をレントゲンで評価した。人工骨移植から12週後における骨癒合の獲得の有無を両群間で比較した結果、骨形成細胞シート移植群では骨癒合を認めたが、骨形成細胞シート未移植群では偽関節になり、プレートの変形や破損を認めた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和2年~4年度の実験結果を総括し、学会発表および論文作成を行う。学会や論文査読で指摘された内容について、必要であれば追加実験および評価を行うことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで得られた研究結果の学会発表や論文作成、追加実験のために必要な費用として次年度に残した。
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