本研究は、骨形成細胞シート(Osteogenic matrix sheet)と生体内誘導骨形成膜を融合させることで、骨欠損に対する新しい効果的な骨再生治療法を開発することを目的とする。研究期間全体における実験内容の概略を述べる。ラット大腿骨に10mmの骨欠損モデルを作製し、Masquelet法による生体内誘導骨形成膜に骨形成細胞シートを融合させた際の骨再生能の評価を行った。実験はFischer344ラットを使用した。実験は当施設の動物実験ガイドラインに従い愛護的操作、除痛、感染予防を徹底して行った。全身麻酔下に10週齢Fischer344ラットの右大腿骨に10mmの骨欠損を作製し、ロッキングプレートで大腿骨を架橋固定した後に骨欠損部にPoly Methyl Metacrylate(骨セメント)を充填した。あらかじめ同系7週齢ラットの骨髄間葉系幹細胞から作製しておいた骨形成細胞シートを骨セメント周囲に移植した。コントロール群は細胞シートを移植しない従来法とした。4週間後に骨セメント周囲に形成された生体内誘導骨形成膜を切開して、骨セメントを人工骨(βTCP)に置換した。人工骨移植後、2週、4週、8週における経時的な骨再生能をレントゲンおよび組織学的に評価した。骨形成細胞シート移植群では、骨欠損部に経時的な骨再生を認めたが、骨形成細胞シート未移植群では、骨再生は乏しかった。移植から12週後では、骨形成細胞シート移植群では骨癒合を認めたが、骨形成細胞シート未移植群では偽関節になり、プレートの変形や破損を認めた。令和5年度は、上記研究の追試実験を行い、統計学的処理を行った。研究成果を学会で発表した。
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