研究課題/領域番号 |
20K09440
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
齋藤 亘 北里大学, 医学部, 准教授 (60439099)
|
研究分担者 |
内田 健太郎 北里大学, 医学部, 講師 (50547578)
馬渕 洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50424172)
関口 裕之 湘南医療大学, 臨床医学研究所, 研究員 (90547233)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 局所硬化ゲル / 脊椎固定 / 人工骨 |
研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えた我が国において、高齢者の脊椎固定術が増加している。高齢者は若年者に比べ骨癒合が遷延することから高齢者の骨癒合促進は極めて重要である。近年我々はヒアルロン酸(HA)に天然由来架橋基を導入することで、2剤混合後に硬化する新規HAゲル剤(局所硬化HAゲル)を開発した。本年度は、新規HAゲル剤を用いてBone morphogenetic protein (BMP)-2を導入した多孔質人工骨をマウス後側方固定術に投与し、その有用性を検討した。9週齢雄性C57BL/6Jマウスを用いて後側方固定術モデルを作成した。2 μg BMP-2含有チラミン架橋HA溶液に人工骨(β-TCP)を浸漬した。浸漬後、酵素試薬を加え、ゲル化させた。ゲル化後、後側方固定術モデルに投与した(BMP-Gel群)。2 μg BMP-2溶液に人工骨を浸漬後、ゲル化を行わずに移植した群(BMP群)、人工骨をリン酸緩衝液(PBS)に浸漬後移植した群(コントロール群)を対照として用いた。4週後、X線およびμCTを撮影した。また、μCT後の検体を用いて薄切切片を作製し、HE染色、マッソントリクロム染色を行った。control群、BMP群と比較し、BMP-Gel2群で4週において、骨量、骨塩量の増加を認めた。HA+BMP-2群では、micro CT画像および組織切片標本において新生仮骨による横突起間の架橋を認めた。局所硬化HAゲルを用いることで多孔質人工骨へのBMP-2導入が可能であった。また、後側方固定術モデルにおいて骨形成を促進したことから、本方法は脊椎固定術における骨形成促進法として有用かもしれない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
局所硬化ゲルを用いることで多孔質材料へのBMP-2導入が可能であり、作製した複合材料は骨形成作用を有していた。そのため、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
ゲル濃度、ゲル組成の最適化、細胞導入を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の蔓延により幹細胞を導入した複合材料の活性評価に一部遅れが生じた。次年度、活性評価をする際に使用する予定である。
|