研究実績の概要 |
8週齢のSprague-Dawleyの雄ラットを用い、以下の脊髄損傷モデルを作成した。Day 1, 3, 7, 14, 28, 56, 84およびsham手術群をそれぞれ6匹ずつ作成。HE染色により造精機能評価を行った。Sham群の精巣においては、full spermatogenesisで精細管内腔に向けて、精子が容易に確認できた。一方、脊髄損傷モデルでは時間経過ともに造精機能の低下を認め、モデル作成後day 3-7では精子細胞は認めるものの1精細管に10未満 (late maturation arrest、rat Johnsen’s score 6) であった。Day 14では、精細管によっては精子細胞を認めるが、大多数の精細管では精母細胞のみとなった (early maturation arrest、rat Johnsen’s score 3-5)。Day 28になると、ごく少数の精母細胞を認めるのみとなり、精巣上体管においては、精子は皆無であった (rat Johnsen’s score <4)。Day 56、day 84 についても造精機能の自然回復はなく、精細管内は early maturation arrest のままであった。また、同様に精巣上体尾部組織での、運動精子数、精子濃度を、精子運動解析システムを用いて測定したが、sham群と比較して、モデル作成後 day 3-7で、運動精子および精子濃度の減少を認め、day 28以降では、少数の不動精子が確認できるのみであった。 これらすべての全精巣タンパクの抽出を完了した。脊髄損傷後、早期から造精機能障害が出現することがHEでの造精機能評価で確認できたため、まず、モデル後、day3-7について、2次元電気泳動及び銀染色によるタンパク解析を行った。Sham群とモデル群を比較して、モデル群において消失したスポットが5個、反対にモデル群で出現したスポットが1個、検出された。質量分析で、これらの蛋白を同定中である。
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