研究課題
難治性神経障害性疼痛モデルマウスも使用し、痛みを制御していると考えられる脊髄後角でどのような変化が生じているのかを次世代シーケンサーやPCRにより検証したので報告する。C57BL6/J雌マウスを用いてSNI (Spared nerve injury)モデルを作成、脊髄後角部を切り出し、RNAを抽出し次世代シーケンサーによって網羅的に遺伝子発現変化を調査した。脊髄後角部に対するRNAシークエンスで、SNIモデル患側とShamモデルにおいて発現に変化がみられたものは約70種類存在した。そのうち特にSNIモデルで発現上昇していたものは6遺伝子であった。これらの遺伝子をそれぞれ遺伝子A~Fと名付けた。特に遺伝子Aの発現量は、約8000倍もの差があり、有意に上昇していた。また、SNIモデルの健側と患側の比較でも、遺伝子Aの発現量は患側で2.8倍に増加していた。さらに遺伝子B、FもSNIモデルの患側で有意に上昇していた。一方、SNIモデルで発現減少した約60種類の遺伝子の多くが、SNIモデルの患側でも同様に減少していることが分かった。上記の結果を踏まえて、遺伝子A、B、Fについて定量PCRによる追加実験を行った。RNAシークエンスで用いた検体を使用し比較した。その結果、遺伝子Aでは1.22倍、遺伝子Bでは1.41倍、遺伝子Fでは1.14倍増加していた。有意な上昇がみられたのは遺伝子Bのみであった。遺伝子Bは骨細胞外マトリックスの構成タンパク質をコードし、脊髄における役割は不明であり今後の調査が必要である。
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