研究実績の概要 |
①界面活性剤の肉腫細胞への影響 抗がん剤(ドキソルビシン塩酸塩、DOX)複合多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube, MWCNT):DOX-CNTを用いて実験を行っている。これまでの我々のDOX-CNTを用いた実験では、界面活性剤であるPluronic F-127(PF-127)は細胞培養液中で500 μg/mLの濃度で使用していたが、その影響が無視できないと考えられる結果が出ており、PF-127自身のヒト骨肉腫細胞(143B細胞)に対する影響を評価した。143B細胞にPF溶液をそれぞれ最終濃度が0.1 μg/mL、1 μg/mL、10 μg/mL、100 μg/mL、1000 μg/mLとなるよう添加した。PF溶液暴露後24時間ではPF濃度が1000 μg/mLで細胞生存率が65.8 %と有意に低下し、48時間では100 μg/mLで67.2 %、1000 μg/mLで65.3 %と生存率が有意に低下した。この結果から、その後のDOX-CNTは、PF-127の濃度が10 μg/mLとなるよう作製した。 ②DOX-CNTの骨肉腫細胞への効果 低濃度のPF-127でCNTを分散させたDOX-CNTを用いて実験を行った。CNTの濃度を変更したDOX-CNTを143B細胞に添加した。DOX-CNTはDOXの培養液中の最終濃度が1 μg/mLとなるように調整し、CNTの添加量は最終濃度でそれぞれ2 μg/mL(DOX-CNT2)、5 μg/mL(DOX-CNT05)、10 μg/mL(DOX-CNT10)とした。DOX-CNTを添加後24時間の細胞生存は、DOX-CNT2で34.1%、DOX-CNT5で30.9%、DOX-CNT10で19.5%となり、DOX-CNTに添加したCNTの容量依存性に143B細胞の増殖が抑制された。
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