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2022 年度 実施状況報告書

骨血管機能の性差から見た循環障害に起因する骨粗鬆症の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K09464
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

福田 裕康  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (90444984)

研究分担者 橋谷 光  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10315905)
中森 裕之  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60824349)
三井 烈  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90434092)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード骨循環 / 栄養動脈 / セロトニン / 骨粗鬆症
研究実績の概要

骨粗鬆症の発症およびその治療に関わる性差を、骨代謝機能を担う骨微小循環およびそれを担う骨血管の収縮機能制御から解明しようとする研究であり、女性の骨粗鬆症の発症は女性ホルモン低下による骨循環障害に起因するとの問いを検証する。
生後6カ月に卵巣摘出手術をおこない、その6カ月後にモルモット骨粗鬆症モデルを確立することができたことから、骨組織の血流を担う脛骨栄養動脈の収縮制御を骨粗鬆症モデルとシャム手術を行ったコントロールモデルで比較した。骨粗鬆症を発症する前の3週齢雌モルモット脛骨栄養動脈の経壁電気刺激による神経性収縮は、交感神経およびセロトニン作動性神経によって調節され、交感神経においても神経伝達物質としてセロトニンが機能しうる雄のモルモットでは観察されなかった性差を報告した。
骨粗鬆症モデルおよびコントロールモデルでは、若年性モルモットで観察された神経性収縮が減弱していたが、NO合成阻害薬による神経性収縮の増強が観察されたことから3週齢から1年齢に成長したことによるNOの関与の増大が示唆された。神経性収縮は、α受容体阻害薬であるフェントラミンによって抑制され交感神経遮断薬であるグアニチジンによってほぼ消失したことから、交感神経によって調節されていることがわかった。外因性に低濃度(10nM)のセロトニンを投与し、セロトニン存在下での神経性収縮は骨粗鬆症モデル、コントロールモデルともに増大した。フェントラミン存在下で、セロトニンによる神経性収縮の増大はコントロールモデルのみでみられた。このことは、コントロールモデルではセロトニンが交感神経に取り込まれ神経伝達物質として働いているのに対して骨粗鬆症モデルでは交感神経へのセロトニンの取り込みが出来なくなることをあらわし、神経性収縮の変化が骨代謝に影響を与えることを示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

骨粗鬆症の指標である骨密度の変化を指標に、6カ月以上成熟したモルモットで卵巣摘出手術を行い、その6カ月後で有意な骨密度低下を観察することができた。これらの結果から、研究に用いるモルモットは一年齢以上必要であったが、飼育ゲージの制限から十分な匹数を確保できなかった。若年期の雌モルモット脛骨の神経性収縮の特徴は得られている。神経性収縮は交感神経、セロトニン作動性神経によって調節されており、雄モルモットでは観察されなかったセロトニンが交感神経に取り込まれて神経伝達物質として機能していた。骨粗鬆症モデルが確立できたことから、一年齢以上になる骨粗鬆症モデル、シャム手術を行ったコントロールモデルではNOによる神経性収縮の抑制がみられることがわかった。また、神経性収縮は主に交感神経によって支配されていたが、今までに分かった骨粗鬆症モデルの特徴の一つはコントロールでみられたセロトニンが交感神経に取り込まれ神経伝達物質として機能していることがみられなくなった。他の骨代謝に影響をあたえる血管の神経性収縮の特徴を示唆していきたい。

今後の研究の推進方策

本年度は、昨年度に引き続いて飼育している骨粗鬆症モデル動物が作成される。今までに得た、若年期雌モルモット脛骨栄養動脈の神経性収縮機構を基盤にして、骨粗鬆症モデル・シャムコントロールモデルにおいて成長による神経性収縮機構の差異を明確にする。また骨粗鬆症モデルにおいて骨粗鬆症の発症および経過に寄与する血管の収縮制御機構を解明して、骨循環障害に起因する骨粗鬆症の病態解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

二年前の飼育施設の故障により、新規搬入が中止となり、一年間の飼育時間が確保できなかったため当該金が生じた。予定より遅れたが昨年から作成に成功した骨粗鬆症モデルについて検討できるため、骨粗鬆症モデル動物での骨循環に寄与する血管の収縮制御機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 雌モルモット脛骨栄養動脈における神経性収縮に対する外因性セロトニ ンの作用2022

    • 著者名/発表者名
      福田裕康、中森裕之、三井烈、橋谷光
    • 学会等名
      第64回日本平滑筋学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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