研究課題/領域番号 |
20K09465
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
永谷 祐子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (90291583)
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研究分担者 |
浅井 清文 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70212462) [辞退]
川口 洋平 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90766734)
野崎 正浩 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (00509309)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | gliostatin / 関節リウマチ / 滑膜細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、既存の治療薬に対して不応性のRA患者へグリオスタチンを標的とした新たな治療薬を開発することである。これまでの臨床研究にてTNF阻害 薬、IL-6阻害剤、Janus kinase (JAK) 阻害剤治療中患者の血清中グリオスタチン濃度の推移を観察すると、これら既存の治療薬 に対して寛解導入できた症例では血清中グリオスタチン濃度が低下したが、不応性の患者では血清中グリオスタチン濃度は高濃度で推移することがわかっている。またRAにおいては血清のグリオスタチンは滑膜にて産生される。RA関節液中のグリオスタチン濃度は変形性膝関節症患者の数十倍から数百倍におよびこのグリオスタチンを制御するには抗 体療法ではなくシグナル伝達阻害が効率的であると考え、グリオスタチンを標的とした治療法の開発を試ていみる。 申請者らはグリオスタチンプロモーターを組み 込んだvectorを作製し、 線維芽細胞様滑膜細胞 (FLSs) に導入しグリオスタチン プロモーター活性を測定した。 グリオスタチンプロモーターにはSp1結合部位 が7か所あり、Sp1阻害剤であるmithramycin (MIT) にてプロモーター活性が抑制されることを確認した。またグリオスタチンプロモーターにはSTAT1の結合部位 であるISRE、 GASがあり、同部位を標的にした活性抑制可能な因子の探索を試みた。グリオスタチンはinterferon gamma刺激にても誘導されたことからISRE、 GASは治療標的となりうることが示唆された。今回はさらにグリオスタチンの発現がSTATのリン酸化がどのように関連しているのかを明らかにする。今年度この研究の一部を論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヤヌスキナーゼ阻害薬のひとつであるバリシチニブにより、グリオスタチン産生抑制がかかることを見出した。その過程において、滑膜細胞におけるインター フェロンガンマの作用の一端を解明できた。 関節リウマチ患者の人工膝関節置換術症例の減少によりRA滑膜組織の入手量がやや減少した。これにより実験に用いる細胞数が予定より少なく、スケジュール通 りに実験を進行させることが困難を極めていることはたしかである。またコロナ対策により実験実施時間の確保に難渋した。国際学会での発表ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
グリオスタチンのシグナル伝達阻害因子を探索中であるが、mithramycinは最有力候補である。しかしその細胞毒性により組織障害性が強いため、より毒性の低い mithramycin analogueが開発されている。本試薬の入手を企画しているが、いまのところ入手困難である。 またJAK/STAT系の阻害によりグリオスタチンの抑制がかかることから、STATの抑制を目的とした薬剤も検討する予定である。候補の薬剤は数種類あり、それぞれ検討予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定してい海外の学会発表や研究会などへの参加を社会情勢を考慮して見送った。また実験に必要なELISA plateの購入が、商品搬送遅滞のため年度内に入手できなかったため。
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