研究課題/領域番号 |
20K09466
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
谷口 亘 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20453194)
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研究分担者 |
山中 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30597084)
西尾 尚子 和歌山県立医科大学, 医学部, 特別研究員 (40648359)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ドーパミン / 運動療法 / 脊髄後角 / パッチクランプ法 |
研究実績の概要 |
慢性疼痛患者に対する運動療法による鎮痛のメカニズムに関して、未だ不明な点が多い。本研究では運動療法鎮痛のメカニズムの一つに視床下部A11から脊髄後角細胞に投射しているドーパミン作動神経系による下行性疼痛抑制系が関連しているという仮説のもと、脊髄後角細胞をターゲットに解析を行った。神経障害性疼痛モデルとしてSpared nerve injury (SNI)モデルを導入し、このモデル処置を行ったラット群にランニングホイールを用いた自由運動が出来る環境下での飼育を行った。この運動ラット群から摘出作成した脊髄スライスにホールセルパッチクランプ法を適用した。記録膜電位を-70mVに固定し、脊髄後角ニューロンから各ドーパミン受容体作動薬による膜電位の変化を解析した。その結果、ドーパミンによる細胞膜の過分極をしめす細胞は記録細胞中28.6%で平均12.8pA、 脱分極を示したのは42.9%で平均-13.2pAであった。D2受容体選択的作動薬であるQuinpiloleでは過分極を示す細胞は25%で平均27.3pA、脱分極を示したのは37.5%で平均-42.4pAであった。一方、D1受容体選択的作動薬であるSKF38393では過分極を示す細胞は12.5%で平均5.4pA、脱分極を示したのは87.5%で平均-11.5pAであった。一方、SNIモデルラット運動群の脊髄スライスにドーパミンおよび各ドーパミン受容体作動薬を灌流投与した際の脊髄後角細胞の興奮性シナプス後電流(spontaneous excitatory postsynaptic current:sEPSC)の頻度・振幅の変化も解析したが有意な変化を認めるに至らなかった。このことは運動群においてはすでにドーパミン作動神経系による下行性疼痛抑制系が賦活化している可能性があると考えられた。
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