研究課題/領域番号 |
20K09469
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
中島 新 東邦大学, 医学部, 准教授 (60583995)
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研究分担者 |
赤津 頼一 東邦大学, 医学部, 講師 (20795190)
中川 晃一 東邦大学, 医学部, 教授 (30400823)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 活性酸素種 / 寛解予測 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2021年度は本研究計画の2年目であり、当初の予定では、MH7A細胞を培養し、TNF-α, IL-6などの炎症性サイトカインの存在下に低濃度の過酸化水素処理を行い、細胞内に活性酸素種を発生させ、更なる炎症反応の上昇が見られるかどうかを遺伝子発現、生化学的手法で検証する実験を予定していた。さらに、関節リウマチにおける炎症再燃における活性酸素種の関与を検討するために、MH7A細胞を培養し、過酸化水素の単独処理によって炎症反応の上昇が起こるかどうかを同様の手法を用いて検証する予定であった。しかしながら、昨年度に引き続きコロナ禍で年間を通じて細胞培養器具、試薬の入手が困難な状況に陥り、実験が実施できない状況が続き、研究計画は思うように進まなかった。一方、関節リウマチ患者の血液検体を用いた研究では、血中の酸化ストレスマーカーであるROM (reactive oxygen metabolites)が、生物学的製剤治療開始後52週の臨床的寛解を予測する有用なバイオマーカーとなることを見出した。また、ROMは既存のバイオマーカーであるCRP, MMP-3よりも優れた寛解予測マーカーであった。 一方、本研究課題に関連する臨床研究の成果は日本整形外科学会、日本リウマチ学会、日本人工関節学会、日本関節病学会などの主要学会で発表を行った。特に、日本人工関節学会ではパネリストとして、人工膝関節置換術における軟部組織バランス・ギャップ・アライメント技術と臨床成績について発表を行った。論文業績は英文3編、和文2編であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MH7A細胞を用いた実験は、昨年に引き続きコロナ禍で細胞培養器具、試薬の入手が困難な状況に陥り、計画通りに実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度もコロナ禍は続いており、培養細胞を用いた実験に必要な試薬、器具の入手困難な状況である。また、この状況は本年中に収束するものではない。従って培養細胞を用いた実験は一旦保留とし、関節リウマチ患者の血液検体からROM (reactive oxygen metabolites)を測定し、関節炎再燃との関連について解析を進めていく予定である。なお、ROMの測定は通常診療に必要な採血量で測定可能であり、患者に新たな負担は生じない。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はコロナ禍で細胞培養器具、試薬の入手が困難な状況に陥り、これらの購入ができなかったことが次年度使用額が生じた主な原因である。また、学会がほとんどWEB開催となり、出張費の支出がほとんど無かったことも大きいと思われる。2022年度は、関節リウマチ患者の血液検体からROM (reactive oxygen metabolites)を測定し、関節炎再燃との関連について解析を進めていく予定である。ROMの測定費は外注検査費用として計上する。また、2021年度未使用額と2022年度の配分額を合わせ、培養細胞を用いた実験が可能な状況であれば試薬購入費に、その他、学会出張費、論文投稿費に充てる。
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