研究課題
好中球由来細胞外小胞は、炎症活性化により生じる軟骨細胞の変化を制御し、軟骨恒常性を維持すると仮説をたて、好中球由来細胞外小胞が炎症環境下にある軟骨細胞に与える影響を解析することを目的とした。予備実験として、活性化好中球が炎症刺激を付加した軟骨細胞に与える影響を調査した。好中球を加えた群では、非負荷群と比較し、軟骨細胞異化因子発現を減少させ、TGF-βで刺激した好中球がその効果が最も強い傾向でした。続いて、タンパクレベルの評価を行ったところ、好中球負荷群では、非負荷群と比較し、MMP13などの異化因子の発現が低下する傾向にあったが、TGF-βにPPAR-Gammaアゴニストを加えた群で最も強い効果を示した。このことから、TGF-βとPPAR-Gammaアゴニスト刺激により放出される細胞外小胞に着目した。これらの刺激により得られた細胞外小胞負荷群では、非負荷群に比較し、軟骨細胞異化因子の発現が減少していた。またこれらの細胞外小胞負荷群では、Bulk RNA-seqによる遺伝子発現解析で炎症に関わる複数の遺伝子の発現が抑制されていた。好中球由来細胞外小胞は、軟骨細胞の異化因子放出を抑制する傾向をもつことを示し、TGF-β+PPAR Gamma agonistによる刺激を与えた好中球が最もその効果が高い結果であった。このことからTGF-β+PPAR Gamma agonist刺激により分泌された好中球由来細胞外小胞は、関節炎を収束させることで、軟骨保護的に働く可能性が示唆された。またBulk RNA-seqによる遺伝子発現解析の結果から、軟骨細胞の異化因子発現を減少させる作用に寄与する候補遺伝子を同定した。
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