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2020 年度 実施状況報告書

日本人の解剖学的骨盤形態に適合した人工股関節再置換用寛骨臼再建補強プレートの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K09475
研究機関金沢大学

研究代表者

加畑 多文  金沢大学, 医学系, 准教授 (10334749)

研究分担者 上野 琢郎  金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80800622)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード骨盤形状
研究実績の概要

日本人の骨盤CTデータをもとに作成された新たな基本デザインをCAD化し3Dテンプレーティングを行い、デザインの妥当性の検証および最終的なデザインを確定し、プロトタイプの試作品を作成した。
具体的には、当科でTHAを施行された患者の術前計画のために撮影されたCTデータを使用して既存のインプラントを実際に3D テンプレーティングソフトでテンプレーティングし改良点を抽出した。寛骨臼形成不全の有無や性別による骨形態の違いを考慮し、測定は、女性寛骨臼形成不全股(91股)、女性非寛骨臼形成不全股 (97股)、男性非寛骨臼形成不全股 (76股)の3群(264股)に分けて行った。既存のインプラントは各部位が直線的であるため、適合性が悪いこと、特に前枝が寛骨臼縁から突出してしまっていることなどが判明し、改善点を①フック部のねじれと傾き、②前枝の長さの調節、③パレットの形状の3点とし、新たな基本デザインの構想を得た。構想した基本デザインをCAD化してさらにSTL形式に変換し、それを3Dテンプレーティングソフトにインストールした。そしてインストールされた基本デザインを用いて再度同じテンプレーティング作業を行い、作成されたデザインが妥当であるかを再検証した。
再検証したところ、プロトタイプのデザインは、女性非寛骨臼形成不全股 および男性非寛骨臼形成不全股に対しては良く適合していたが、女性寛骨臼形成不全股に対しては、回旋の適合性が従来品と変わらない程度であった。したがって、この適合性を良くするための工夫(フックのねじれを2種類にする、またはパレット部オーギュメントの適合性を上げることで補うなど)が必要であることがわかった。
確立した基本デザインのインプラントがさらに骨盤への適合性を向上させるためのオプション部品(パレット部オーギュメント)の設計にとりかかり、いくつかのパターン案を作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

力学試験用の骨盤モデルをアメリカの制作会社に注文したが、コロナパンデミックの影響で発注が遅れている。
予定ではコロナの影響で遅れるため4月頃になるとのことだったが、4月中に郵送されてこなかった。

今後の研究の推進方策

最終的なデザインのCADデータをもとに有限要素解析を行い、既存品と比較して新たなインプラントのデザインの力学的同一性(非劣勢)を検証する。男女の代表的な骨盤DICOMデータを選出して骨盤モデルを作成し、従来品と新しいデザインのインプラントとをそれぞれ骨盤モデルに設置させ、骨盤への主ひずみ分布とvon Mises応力分布を有限要素解析を用いて評価する。荷重条件は、模擬骨を用いた力学試験と同一とする。また、作成した試作品で下記の各種力学解析を行い比較する。
疲労試験:従来品で最も強度が弱いとされるフック部に850Nの繰り返し荷重を30Hzで加え破断が起きないことを確認する。
静的荷重試験:金属製寛骨臼モデルへ試作品と従来品を取付け、2300Nの荷重を直径22mmの球型圧子で負荷し発生する歪量を測定する。
模擬骨を用いた力学試験:インプラントおよびその周囲骨に及ぼす応力状態を把握するための力学解析を模擬骨を用いて行う。試作品と既存のインプラントを骨盤の模擬骨 (Sawbones)に設置する。作成した検体に力学試験装置により荷重を負荷し、ひずみゲージにより骨盤モデルおよびインプラントのひずみを測定する。この条件はと他の力学試験とほぼ同一とし、これらによって得られたデータが有限要素解析と相関することも確認する。
確立した基本デザインのインプラントがさらに骨盤への適合性を向上させるためのオプション部品(パレット部オーギュメント)を設計し、それ付加することによる適合性の向上と力学的安定性を確認する。また、ライナー設置の精度向上のためのアライメントメモリの設計を行い、その精度を検証する。それらの設計にはZEDHIP(LEXI社)を使用し、検証に模擬骨を用いる。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響で、打ち合わせを全てオンラインで行ったので、旅費が不要になった。
また、コロナ禍の影響で、力学試験に用いる骨盤模型のアメリカからの発注が遅れており、注文した模型がまだ届いていない状況である。そのため、行う予定だった力学試験が大幅に遅れてしまい、人件費・謝金の必要性がなくなった。
骨盤模型が郵送され次第、力学試験を開始する予定。

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公開日: 2024-12-25  

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