研究課題/領域番号 |
20K09479
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
海渡 貴司 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70623982)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生体内イメージング / 内軟骨性骨化 / 骨芽細胞 / 肥大軟骨細胞 / transdifferentiation |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、2光子励起顕微鏡を用いて内軟骨性骨化において軟骨が骨に置換される過程の生体内イメージングの実験系を構築し、軟骨細胞が骨芽細胞に変化するtransdifferentiation(TD)が骨芽細胞機能に与える形態的・機能的な影響を解明すること、その結果に基づき各種薬剤介入が内軟骨性骨化に与える影響をTDの観点から検証し、病態に応じた最適な骨形成促進法を探索することである。本年度の研究では、まず観察に用いる遺伝子改変マウスとして、10型コラーゲンおよびⅠ型コラーゲンをそれぞれ、Td-tomato, GFPで標識した二重標識マウスを作成した。そして、このマウス由来の骨髄細胞にin vitroで軟骨分化・骨芽細胞分化誘導を行い、軟骨細胞から骨芽細胞に分化転換する様子を観察することに成功した。in vivoの観察では、①中手骨成長軟骨、②BMP誘導異所性骨化、③骨折モデルのうち、前2者の観察を中心に行い、①ではTomato(赤)で肥大軟骨細胞層が傾向標識され、一次海綿骨量(骨幹部)に向かうに従いCol1遺伝子の発現によりCol1-EGFPの蛍光(緑)が合わさり黄色に標識される細胞が多数存在することを生体内で確認した。②のBMP誘導異所性骨化モデルでは、移植後10日の観察でBMPシグナルにより遊走する骨芽細胞には黄色に標識されるものが存在すること(軟骨細胞を経由している)も観察することに成功した。両モデルとも観察日を変化させ適切な最終評価条件設定を行う予定である。また、in vitroとin vivoの中間的な役割を担う、organ cultureでのイメージングも行っている。このモデルでは左軟骨細胞および骨芽細胞がより鮮明に描出されるため、transdifferentiationが完了する時間等を観察し、in vivo イメージング観察時間設定に役立てる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観察に用いる遺伝子改変マウスの作成、本遺伝子改変マウス由来の骨髄細胞を用いたin vitro観察、in vivo イメージングとして、①中手骨成長軟骨、②BMP誘導異所性骨化、そいてorgan cultureでの観察が行えており、おおむね順調に研究は進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は予定通り、二重標識マウスの作成を完了し、in vivoイメージングの観察系がほぼ確定した。今後は、肥大軟骨細胞からtransdifferentiationした骨芽細胞と軟骨細胞を経由しない骨芽細胞の形態的・機能的違いの解析を進める。具体的には、骨芽細胞と破骨細胞のコンタクトを評価することにより、軟骨細胞経由の有無と破骨細胞の動的関係の違い、遺伝子発現の違いをRNA sequenceを用いて網羅的に解析する。そして、臨床への応用として各種薬剤介入が内軟骨性骨化に与える影響を、transdifferentiationの観点から検証し病態に応じた最適な骨折修復・異所性骨形成促進法を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会出張がCOVID感染拡大によりWebとなり支出が減少したこと、動物試験においては骨形態計測等・解析コンピューター購入を次年度に実施する予定としたことが次年度使用額が生じた理由となります。
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