研究実績の概要 |
アディポネクチンの臨床応用を目指し,アディポネクチン受容体アゴニストであるアディポロンの椎間板変性への影響を調査した. in vitro実験:腰椎手術時検体18例からのヒト椎間板細胞を三次元培養し,4グループ間(Control群: C群,アディポロン投与投与群: A群, IL-1β投与群: I群,アディポロン+IL-1β投与群: A+I群)でWestern Blotting法や蛍光免疫染色で炎症経路のタンパク発現を比較した. Western Blotting法,蛍光免疫染色ともA群およびA+I群はI群よりp-AMPK発現が増加し(p<0.01), A+I群はI群よりp-NFkB発現が有意に減少した(p<0.01). in vivo実験:ラット尾椎針穿刺椎間板変性モデルで4グループ間(Control群: C群,穿刺のみ群: P群,アディポロン群: A群,穿刺後アディポロン投与群: P+A群)で椎間板高,組織像,蛍光免疫染色での細胞外基質異化因子,炎症性サイトカイン,炎症経路を比較した. P, P+A群とも穿刺後14,28日でC, A群より有意に椎間板高は低下・組織学的変性進行を認めた(p<0.05)が, P+A群では穿刺後28日でP群より有意に椎間板高高値・組織学的変性進行抑制を認めた(p<0.05).蛍光免疫染色法で細胞外基質異化因子,炎症性サイトカインの発現度,AMPK経路のp-p65は穿刺後14,28日ではP, P+A群はC, A群より有意に高値であった(p<0.05)が,穿刺後28日ではP+A群はP群より有意に低値であった(p<0,05). p-AMPKは穿刺後14,28日ともP+A, A群はC, P群より有意に高値であった(p<0.05). 以上よりアディポロンは細胞外基質異化因子や炎症性サイトカインの発現低下を通して椎間板変性進行の防止や予防に有用な可能性が示唆された.
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