研究課題/領域番号 |
20K09485
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
村上 英樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70334779)
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研究分担者 |
鈴木 伸幸 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50551230)
加藤 賢治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60551166)
近藤 章 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60767284) [辞退]
水谷 潤 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70326156)
相羽 久輝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70793834)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 凍結免疫 / 転移性骨腫瘍 |
研究実績の概要 |
癌治療の進歩により長期成績が向上する一方、転移性骨腫瘍を有する担癌患者の数が増加している。転移性骨腫瘍に関してはこれまでADL改善や骨折予防のため に手術が行われることが多かったが、一般的に予後の改善効果はない。骨転移診療ガイドラインでは、骨転移に対する手術療法は脊髄圧迫症状を呈する脊椎腫瘍 に対する麻痺の改善・予防効果や、四肢骨長管骨に対し骨折予防・除痛効果がある場合に推奨されると述べている。しかしながら一般的に一部の単発骨転移を除 き予後改善効果はないとされており、姑息的な治療として位置付けられている。現在の骨転移の標準的な治療としては、脊椎腫瘍に関しては、後方侵入による除 圧術および固定術が行われることが多いが、発生部位において多様である。一方当院で行われている腫瘍脊椎骨全摘術(TES)は局所制御率を向上し、長期予後 を改善すると考えられるが、高度な専門性を要する。さらに当院では切除した脊椎を用いて凍結処理を行った凍結腫瘍骨による椎体再建を行っているが、凍結された腫瘍組織からがん抗原が放出され(凍結免疫)、癌免疫の賦活化が起きていることが期待されている。本研究では、液体窒素処理骨を用いた再建術により、凍結免疫による免疫賦活化効果の有効性に関するバイオマーカーを検討することを目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象患者として転移性骨腫瘍に対して、全腫瘍脊椎骨切除を行なった患者を対象としているが、コロナなどの影響で患者数が少ないこと、フォローアップが難しいこともあり症例集積が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は転移性脊椎腫瘍切除後の再建の際に凍結した腫瘍組織を用いて欠損部の再建を行う手法の免疫学的機能を評価するもので以下の手法を用いて精査を行う方針である。 免疫学的評価:以下の評価項目に関して採血(通常採血に加えて1回あたり10ml)を行う。手術前(ベースライン)、手術後1,3,6,12ヶ月で行い、ベースラインと比較を行うことにより免疫状態の変化を評価する。 末梢血単核細胞:CD4陽性T細胞(CD45+/CD3+/CD4+/CD8-)、CD8陽性T細胞(CD45+/CD3+/CD4-/CD8+) NK細胞(CD45+/CD3-/CD56+)、Effector制御性T細胞(CD3+/CD4+/CD45RA-/FoxP3high)、Naive制御性T細胞(CD3+/CD4+/CD45RA+/FoxP3low)。フローサイトメ トリー法は血球分離溶液(Lymphoprep)を用いて、PBMCP及び血漿を分離採取し、PBMCは細胞凍結保存液に懸濁し、液体窒素により凍結保管されたものを用いて行う。 T細胞受容体:受容体表面多様性につきレパトア解析により評価を行う。レパトア解析では、RNA抽出のためにPAXgene Blood RNA System(日本ベクトン)を用いて 採血を行う(レパトア解析のための採血は手術前、手術後3か月のみ評価し、残余採血を使用する)。採取された採血は-70度で保存の上、外部委託している REPETOIRE GENESIS社に送付して解析を依頼する。解析データーはRepetoire Analysis Reportとして提出され、1多様性指数(シャノン指数、シンプソン指数、 ピール―指数)、2ユニークリードランキングなどが報告され、T細胞受容体の多様性および特異的な受容体表面の変化を定量的に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により現地での学会や出張などが激減したため。
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