研究課題/領域番号 |
20K09493
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
柿木 良介 近畿大学, 医学部, 教授 (20314198)
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研究分担者 |
赤木 將男 近畿大学, 医学部, 教授 (00273441)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 末梢神経再生 / 神経誘導管 / 脱細胞化自家筋肉基底膜 / 脱細胞化同種神経基底膜 |
研究実績の概要 |
ラット坐骨神経20mm欠損を、管腔内に血管柄、凍結解凍処理した脱細胞化同種神経基底膜(decellularized allogenic nerve basal lamellae:DANBL)、骨髄幹細胞を移植して作成したシリコンチューブで架橋したところ、24週時点でほぼ自家神経移植と同等の成績を得た(Kaizawa Y. et al. Cell Transplant 2017)。 さらに我々は臨床応用を視野にいれて、シリコンチューブを生体分解性のあるNerbridge外套管にかえ、界面活性剤処理して作成したDANBLを移植したところ、 24週時点で自家神経移植とほぼ同等の神経再生を獲得できた。(Tanaka H et al. Plos1 2019 Submitted for publication)。 しかし同種神経移植には,感染、拒絶反応、移植に関する倫理的な問題など解決しなければならない問題が山積している。 今回我々は、DANBLを自家脱細胞化筋肉基底膜(decellularized isogenic muscle basal lamellae:DIMBL)で置き換えて、その神経再生をDANBL移植群と比較することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1手術手技の習得:手術手技を習得するため、ラットを用いて血管茎の挙上、人工神経の作成手順を習得した。2電気生理学的検索:ラット坐骨神経の神経電動速度、足部内転筋でのCMAPの測定を習得した。3脱細胞性自家筋肉基底膜の作成:ラットの大腿四頭筋を採取し、直径3mmの神経誘導管に入る脱細胞性筋肉基底膜を作成した。筋肉基底膜の作成には、freeze and thaw法、surfactantを使った方法があるが、現在2種類の方法で基底膜を作成している。本実験の前のpilot studyを行い、近日中に脱細胞性筋肉基底膜の作成方法を決定する。4骨髄幹細胞の作成:ラットの大腿骨、脛骨より骨髄を採取し、in vitroで培養し、5-6 passageの骨髄間葉系幹細胞の作成法を習得した。5免疫染色の手技の習熟:laminin, s-100、BDNFに対する免疫染色の手技を習得した。6電子顕微鏡標本の作成、ラット坐骨神経、脱細胞性筋肉基底膜、筋肉組織のTEM、SEMの標本作成の手技を習得した。 脱細胞性自家筋肉基底膜の作成法を習得した時点で本実験を開始する。
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今後の研究の推進方策 |
今後ほぼ半年でラットへの脱細胞性自家筋肉基底膜、骨髄間葉系幹細胞含有血管塀付き人工神経でラット坐骨神経をbridgingする手術を終了し、電気生理学的、組織形態学的検索を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験室内に既存の試薬を使用することが出来た為、試薬購入費用が予算額を下回ったが、令和3年度に高額な抗体を購入予定であり、令和2年度未使用額は令和3年度に使用予定である。
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