研究実績の概要 |
シンデカン4は膜貫通型ヘパラン硫酸プロテオグリカンであり、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメインで構成されている。細胞外ドメインにはヘパラン硫酸鎖を持ち、細胞外マトリックスと相互作用する。変形性関節症(OA)において、シンデカン4の細胞外ドメインはmatrix metalloproteinase (MMP)等によりコアタンパク部で切断(shedding)されて関節液内に放出される。放出されたシンデカン4の細胞外ドメインは、細胞表面シンデカンと同じリガンドとの結合活性を持ち、タンパク質分解と成長因子活性のバランスを維持する。軟骨に対するシンデカン4細胞外ドメインの作用を評価した。培養OA軟骨にシンデカン4を添加し、遺伝子発現量をreal time PCRにて評価した。TIMP (tissue inhibitor of metalloproteinase)3が、Control群と比べてシンデカン4添加群で有意に増加していた。ADAMTS (a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)5、MMP13が、シンデカン4添加群で有意に減少していた。膝靱帯切離によるOA model mouseの膝関節にシンデカン4を関節注射する群、ControlとしてPBSを注射する群を作製した。2,4,6,8,12週で屠殺し、組織学的検討を行ったところ、サフラニンOの染色性は術後6週においてContorolで低下したが、シンデカン4投与例では保たれていた。Mankin Score、OARSI scoreを用いて軟骨変性の程度を評価すると、2,4,12週時点ではControlとシンデカン4投与例の比較で、有意差を認めなかったが、6,8週時点ではシンデカン4投与例の方が有意にScoreが低かった。
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