外来通院中の関節リウマチ患者および手術が必要な関節リウマチ患者の合計72名について、文書による同意のもと、末梢血を採取した。また対照として、手術が必要な変形性関節症患者10名および、健常者4名において、文書による同意のもと、同様に末梢血を採取して比較検討を行った。定量的PCRによる遺伝子発現解析、およびウエスタンブロッティングによるタンパク発現解析において、関節リウマチ患者の末梢血単球系細胞においては、Regnase-1の発現が少ないこと、またIKBalphaやProstaglandin-endoperoxide synthase2 (PTGs2)の発現が多いことが判明した。一方、IL-1beta、IL-6、TNF-alpha、IFNgammaなどの炎症性サイトカインについては、発現量に違いが認められるものの、現時点で有意差は得られておらず、今後継続的にサンプルを収集しながら、統計学的に有意差があるのかどうかについての検討を行う必要がある。またこれらについては、同一患者において、疾患活動性の変化や治療薬の変化によって、発現に違いが見られるかどうかについて、縦断的に解析を行うことを検討中である。現在数名の患者の末梢血においてFACS解析を行い、CD4陽性細胞におけるRegnase-1の発現解析を進めている。また手術が必要な関節リウマチ患者および変形性関節症患者の関節滑膜における遺伝子およびタンパク質の発現解析を進めている。また今後は機能解析も必要であり、遺伝子発現抑制や強制発現によって、細胞における炎症性サイトカインのタンパク発現などの機能変化が見られるかどうかについて検討を予定している。
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