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2021 年度 実施状況報告書

ヒト人工多能性幹細胞の酸素濃度に着目した変化の検証と変形性膝関節症の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K09508
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

稲垣 有佐  奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (60707529)

研究分担者 岡村 建祐  奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (60812691)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード変形性膝関節症 / ヒト人工多能性幹細胞 / 骨分化
研究実績の概要

変形性膝関節症(KOA) の早期治療は我が国にとって大変重要な課題であるが、その発症に関与する分子レベルでの反応の詳細については未だ明らかにされていない。申請者は低酸素環境中のラット骨髄間葉系幹細胞(MSCs) が通常酸素環境へ暴露されることで骨形成能が促進されることを既に報告した。本研究の目的は、ヒト人工多能性幹細胞(iPSCs) を用い、上記の酸素濃度変化時の遺伝子発現量の解析等を従来より正確性に重点を置いて行い、その結果から分子レベルでの機序を解明し、KOAのみならず他関節OAの病態解明と、将来的にそれに対応した新規薬剤の開発に資することである。まずはiPSCsを通常酸素環境下に骨分化誘導培養し、アルカリフォスファターゼ(ALP染色)、アリザリンレッド染色、逆転写-定量的リアルタイムポリメラーゼチェーンリアクション(RT-qPCR)にてiPSCsの骨分化を評価した。また、RT-qPCRにおいて、適切な参照遺伝子の設定が重要であり、複数のアルゴリズム解析の結果、従来より使用されてきたグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH) やβアクチン(ACTB)ではなく、TATA box binding protein (TBP)が最も安定しており、本実験系に最適な参照遺伝子であることが判明した。結果として、ALPおよびアリザリン染色陽性、RT-qPCRにて未分化マーカー遺伝子の減少、骨形成関連遺伝子の増加を認め、iPSCs骨分化誘導が示唆された。次に、次にiPSCsを低酸素環境に馴化させることに成功し、低酸素環境でのiPSCs骨分化誘導実験を施行した。その結果通常酸素環境と異なり、低酸素環境下では、ribosomal protein S18 (RPS18)が骨分化誘導の最適な参照遺伝子であることが判明し、現在英文誌投稿準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

低酸素環境下でのiPSCs骨分化誘導時は、ribosomal protein S18 (RPS18)がの最適な参照遺伝子であることが判明し、現在英文誌投稿準備中であるが、本研究当初の目的である骨分化関連遺伝子の詳細な検討は今後必要であり、研究進捗状況はやや遅れている。

今後の研究の推進方策

今後、iPSCs骨分化誘導培養時に低酸素環境から通常酸素環境へと変化した際の遺伝子発現解析を行っていく予定である。さらに人工膝関節置換術時に、同意のもと採取した骨軟骨組織を、まず基本的な組織学的評価を行ったうえで、上記にて選定した分子について免疫染色を行い、実際のKOAの病態にも関与しているかを検証する。またその結果と、検体を採取する膝関節について術前に予め撮像しておいた核磁器共鳴(MR)画像から得た軟骨病変の重症度パラメータとの比較検討も行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

COVID19の影響もあり研究課題1年目、2年目の物品費、旅費等支出が想定より少なく、次年度使用額が生じているが、3年目で使用予定である。今後、iPSCs骨分化誘導培養時に低酸素環境から通常酸素環境へと変化した際の遺伝子発現解析を行っていく予定である。さらに人工膝関節置換術時に、同意のもと採取した骨軟骨組織を、まず基本的な組織学的評価を行ったうえで、上記にて選定した分子について免疫染色を行い、実際のKOAの病態にも関与しているかを検証する。またその結果と、検体を採取する膝関節について術前に予め撮像しておいた核磁器共鳴(MR)画像から得た軟骨病変の重症度パラメータとの比較検討も行っていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] What is the best reference gene of RT-qPCR analyses for the osteogenic differentiation of human induced pluripotent stem cells?2022

    • 著者名/発表者名
      Masakazu Okamoto, Kensuke Okamura, Yusuke Inagaki, Yoshinobu Uchihara, Kenichiro Saito, Yasuhito Tanaka
    • 学会等名
      Orthopaedic Research Society 2022 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] ヒトiPS細胞の骨分化誘導実験における培養期間がRT-qPCRの適切な参照遺伝子の選択に及ぼす影響についての検討2021

    • 著者名/発表者名
      岡村 建祐, 稲垣 有佐, 森 英一朗, 岡本 公一, 内原 好信, 小川 宗宏, 田中 康仁
    • 学会等名
      第36回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 低酸素環境下ヒトiPS細胞骨分化誘導実験における逆転写-定量的リアルタイムPCR(RT-qPCR)の最適な参照遺伝子とは何か2021

    • 著者名/発表者名
      岡本 公一, 岡村 建祐, 稲垣 有佐, 内原 好信, 杉本 啓紀, 齊藤 謙一郎, 小川 宗宏, 森 英一朗, 田中 康仁
    • 学会等名
      第36回日本整形外科学会基礎学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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