研究課題/領域番号 |
20K09511
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
谷端 淳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00508426)
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研究分担者 |
南沢 享 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40257332)
暮地本 宙己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60632841)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 筋萎縮抑制 / 筋小胞体 / サルコリピン / 抗酸化ストレス応答 |
研究実績の概要 |
筋萎縮を防ぎ、活動量を維持することは超高齢社会迎えた本邦では健康寿命延長のために重要な課題である。そこで、本研究では「筋小胞体Ca2+再取り込み機能維持による細胞内Ca2+濃度の適正化が筋の恒常性維持に寄与する」という仮説をたて、特に筋小胞体Ca2+再取り込み機能が筋萎縮に及ぼす効果を分子生物学的、生理学的に評価する。 我々は筋小胞体へのCa2+再取り込みを抑制するsarcolipin (SLN)を抑制したマウス (SLN KOマウス)を用いて筋萎縮の程度とその形態を観察した。その結果、除神経により筋萎縮を誘導すると特に遅筋のヒラメ筋で野生型に比べて、萎縮の程度が低下し、筋萎縮誘導に関連するユビキチンリガーゼ(Atrogin-1, MuRF1)の遺伝子発現が減少した。また、SLN KOマウス速筋は、野生型マウス速筋と同様に除神経による筋萎縮誘導より、遅筋化するがその程度は野生型より優位に大きかった。一方で、抗酸化ストレス応答は野生型とSLN KOマウスの定常状態でもSLN KOマウスで野生型と比較して低く、筋萎縮誘導しても特に筋委縮後の遅筋ヒラメ筋で抗酸化応答に主要な役割を担うNrf2の発現は増加するものの、増加の程度は筋萎縮誘導後の野生型と比較しても低いことが分かった。 この抗酸化応答シグナル分子の増加抑制の原因は不明であるが今後、細胞内のCa2+量やその動態との関連も含めて検討していく必要がると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況として、やや遅れ気味である。新型コロナウイルスの影響で在宅ワーク期間があったこと、新たな講義スタイルの確立に時間を要したことなどにより、研究に費やす時間が予定より不足したことによる。
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今後の研究の推進方策 |
当初は細胞実験を行う予定でいたが、初代細胞の確立がうまくいかずに実施できていない。今後試行回数を増やし、初代培養株の樹立を目指す。 細胞株の樹立を早期に確立し、Ca2+動態や量を定性的に検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により実験の遂行に遅れが出たことにより、今年度の使用額が少なくなった一方で、今年度はその分の遅れを取り戻すために細胞培養系の樹立を目指す費用に使用する。
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