研究課題/領域番号 |
20K09518
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
新井 誠二 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10636210)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アポトーシス / 前立腺癌 / MARCH5 |
研究実績の概要 |
本年度は、①前立腺癌細胞における因子のうち、抗アポトーシス蛋白MCL1もしくはBCLXLを標的とするBH3ミメティクスが高感受性を示すものを明らかにすること、②アポトーシス・ミトコンドリアを標的とした薬剤スクリーニングを用いた前立腺癌細胞に対する治療効果の解析を中心に行った。 まず、①MCL1もしくはBCLXLを標的とするBH3ミメティクスが高感受性を示す因子の解明として、ミトコンドリアに局在するE3ユビキチンリガーゼMARCH5が、統合的ストレス反応の活性化およびNOXAを介して、抗アポトーシス蛋白MCL1の分解に関与することを明らかとした。MARCH5をknockoutした前立腺癌細胞がBCLXLを標的とするBH3ミメティクスに高い感受性を示すことを確認し、さらに重要なことに、MARCH5のホモ・ヘテロ欠損が前立腺癌患者の最大5%程度に認められることを見出し、誌面発表を行った。 ①と並行して、②の薬剤スクリーニングについては、まず上記結果から、ミトコンドリアを標的とする薬剤が前立腺癌細胞に対して効果を示すと考え、ミトコンドリア標的薬剤約90種によるスクリーニングを行った。その結果、数種類の薬剤が単剤で前立腺癌が特に高い感受性を示すこと、またはBH3ミメティクスとの併用で前立腺癌細胞にアポトーシスを誘導することを明らかとした。重要なことに、そのうちの1種の薬剤は、単剤で、in vivoにおいても、数種類の前立腺癌細胞ゼノグラフトを縮小する効果があることが判明し、現在論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
MARCH5をknockoutした前立腺癌細胞が、BH3ミメティクスに高感受性を示すことを明らかとし、MARCH5のホモ・ヘテロ欠損が前立腺癌患者の最大5%程度に認められることを見出した。この結果は、当初の目的の一つである、前立腺癌に存在する特性のうちBH3ミメティクスが感受性を示す因子があることを示すことができたと考える。さらに、ミトコンドリアを標的とする薬剤によるスクリーニングで、in vivoにおいて前立腺癌細胞ゼノグラフトに効果を示す薬剤を見出しており、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
すでに見出しているミトコンドリア標的薬の前立腺癌細胞におけるさらなる解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitroでの薬剤スクリーニングを中心に行なったため、今年度の使用額が予定よりも少なくなった。次年度はin vivoの実験をさらに進めていく。
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