昨年度の薬剤スクリーニングから同定したミトコンドリア標的薬についての研究を続けた。 まず、2種類の前立腺癌細胞(RV1、LNCaP細胞)in vivoモデルにおいて、腫瘍縮小効果を認めることを確認した。腫瘍縮小は主にアポトーシスの誘導によることを免疫染色により確認し、アポトーシス誘導のメカニズム解明に焦点を当てて、研究を進めた。 まず、ミトコンドリア標的薬が低下させるMCL1、C-MYC、AR蛋白のうち、どの蛋白がアポトーシスと直接関与しているのかどうか確認し、抗アポトーシス蛋白であるMCL1が重要な働きをしていることを確認した。さらに、プロテオーム解析により上記蛋白以外に前立腺癌細胞の生存に重要な働きを果たしているclusterinが低下することを確認した。現在、これらの蛋白がどのように最終的にアポトーシスを引き起こすことになるのかの解析を行なっている。また、ミトコンドリア標的薬が結合する蛋白の解析を行うため、Protein thermal shift assayによる確認を進めている。さらにミトコンドリア標的薬の治療効果のメカニズムの解明、耐性メカニズムの解明のため、ミトコンドリア標的薬の耐性株を作成した。現在、親株と耐性株との間での遺伝子変化の解析のため、Whole exome sequence、RNA sequenceを行い、現在解析中である。 以上の結果について、今年度中に論文にまとめ、誌面発表を行う予定である。 上記以外にも国際共同研究として、前立腺癌に関する誌面発表を行った。
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