研究課題/領域番号 |
20K09528
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
光成 健輔 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70866657)
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研究分担者 |
大庭 康司郎 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (20593825)
宮田 康好 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腎癌 / 免疫複合体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、イムノコンプレキソーム(IC)解析法を用いて、動物モデルと腎癌患者の検体を用いた網羅的解析を行ない、新たな腎癌の病態や治療効果に関連する因子を同定し、『新たな治療効果予測モデルの構築に関する議論』に有用性の高い情報を提供することである。IC 解析法は定性検査法であり、定量検査とは異なり測定対象検体に含まれる量や非特異的因子の存在に関係なく、特異性が高ければ関連因子として同定できる。そのため、腎癌細胞の特異的因子を尿から同定し、その濃度を定量的方法で評価することで、非侵襲に採取可能な尿を用いた効果予測モデルを構築できれば、その臨床的な有用性は極めて高くなる。血管新生と免疫反応を中心とした腎癌の病態や治療における複雑なクロストークの解明腎癌における標準的治療薬は、抗血管新生作用をもつ分子標的治療薬と免疫機能が関与するI-O drugs だが、臨床ではその両者による逐次交換療法が広く行われている。一方、3次、4次療法となるにつれて、腎癌における血管新生と免疫反応の意義は複雑になっていくため、逐次交換療法が進むほどに、治療効果の予測はさらに困難になる。本研究では、このような血管新生や免疫機能を中心とした複雑なクロストークに関する網羅的解析が可能である。現在、腎癌患者での臨床検体(手術摘出標本、血液、尿)の採取と保存(-80℃)が進んでいる。今回我々は他癌腫である膀胱癌患者の尿検体を用いたIC解析法において新規尿中マーカーを同定した。6個のIC-antigenを同定し、特にIC-セルロプラスミンが潜在的な尿中バイオマーカーであることを示し、本研究が他癌腫においても実用できたことを証明した。本研究においても同様に研究を進めており、検体の採取から解析へと移行している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度も腎癌患者での臨床検体の採取を進めている。また泌尿器科領域の他癌腫(膀胱癌)の尿検体を用いたIC解析法により、膀胱癌の新規尿中バイオマーカーを同定することができた。IC解析法が他癌腫でも十分に実用化できたており、腎癌患者の検体を用いたIC 解析の結果と病理学的特徴や治療効果との関連の検討をさらに進めていく予定である。また腎癌マウスモデルに関してはマウスへ注入予定の腎癌cell linesの準備を終えているが、マウスモデルの作成に至っていない。今後の動物モデルに関しては前立腺癌マウスモデルでの結果を参考に、マウスモデルの作成および治療介入をすすめていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
検体を用いたIC解析は他癌腫(膀胱癌)で実績を作ることができたため、解析法の精度をさらに向上させ、測定条件などを綿密に検討する。さらにマウスモデルの作成を進め、治療介入とそれに伴う検出される特異的免疫複合体の相違を解析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年7月にイタリア(ミラノ)において国際学会(EAU 2021)が開催予定であり現地参加予定としていたが、コロナによりWEB開催となったため旅費の使用が不要となった。 本研究の新たなデータも出てきており、国内・国際学会での発表に必要な旅費に使用する予定としている。
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