研究課題/領域番号 |
20K09532
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
宮澤 克人 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60219772)
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研究分担者 |
井上 慎也 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20740997)
中澤 佑介 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50743689)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Calcium Oxalate / Urolitiasis / Uric acid / Xanthine oxidase |
研究実績の概要 |
本研究の目的は高尿酸血症のカルシウム結石形成における役割を尿酸代謝のXanthine oxidaseの視点から生物学的、特に腎尿細管細胞と腎間質の機能を解析すること、ならびにXanthine oxidase阻害薬によるカルシウム尿路結石形成抑制を実証することである。実施計画に基づき、先ず、in vitroで尿酸のカルシウム結石形成促進作用の分子機構を解析するとともにXanthine oxidase阻害薬による高尿酸とカルシウム結石形成抑制について以下の3項目を検証した。 ①尿酸添加によるMDCK細胞形態観察(Pizzolato染色、von Kossa染色、免疫染色、TUNEL染色を含む光学および電子顕微鏡) ②MDCK細胞の結石関連物質 (RPTF1, OPN, MCP-1, THPなど) の蛋白および遺伝子発現の測定(PCRとWestern blot)とマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析 ③Xanthine oxidase阻害薬添加による比較検証 その結果、マイクロアレイでは、COM結晶刺激よりイヌ遠位尿細管上皮細胞(MDCK細胞)において時間・濃度依存的にMCP-1, IL-8, CXCL10などの炎症系遺伝子群がアップレギュレートされた。Xanthine oxidase阻害薬であるフェブキソスタットは時間・濃度依存的にCOM結晶刺激によるこれら遺伝子群をダウンレギュレーションした。MCP-1, IL-8, CXCL10のmRNA発現をリアルタイムRT-PCRにてバリデーションしてマイクロアレイでの結果を確実とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに腎尿細管細胞での解析をイヌ遠位尿細管上皮細胞(MDCK細胞)を使用して、Xanthine oxidase阻害薬であるフェブキソスタットのプレインキュベーションとシュウ酸カルシウム(COM)結晶刺激による網羅的遺伝子発現をDNAマイクロアレイ解析を行い、候補遺伝子の同定、さらにリアルタイムRT-PCRによるバリデーションを施行した。その結果、COM結晶刺激により炎症系遺伝子群のアップレギュレートとフェブキソスタットによるその抑制効果を同定した。 これらの結果を論文報告(Int J Urol (2021) 28: 339-345)した。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroの結果を尿路結石形成ラットモデルに応用してin vivoでの解析を行う。すなわち動物モデルでの尿酸とXanthine oxidase阻害薬の結石形成抑制効果を検証する。また、腎間質の役割を組織学的に解明するため以下の研究を推進する。 ①過蓚酸尿ラットの尿酸とXanthine oxidase阻害剤付加群を飼育 ②24時間尿採取と結石関連尿中物質の測定と尿中過飽和度の算定 ③摘出腎組織の組織学的観察と原子吸光法での組織内Ca測定および結石関連物質 (RPTF1, OPN, MCP-1, THPなど) の蛋白および遺伝子発現の測定
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で学会発表などの成果報告費用を使用しなかったため次年度使用額が生じた。 余剰金はin vitroでの成果を次年度にin vivoに応用する際に使用する。具体的にはマイクロアレイで得られた候補遺伝子が申請時より複数であったためこれらに範囲を広げてPCRでバリデーション解析する。
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