研究課題/領域番号 |
20K09535
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
飛澤 悠葵 弘前大学, 医学研究科, 助教 (70623768)
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研究期間 (年度) |
2021-01-01 – 2024-03-31
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キーワード | 糖鎖生物学 / 抗腫瘍免疫 / 前立腺癌 / ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸分解酵素 / 膀胱癌 / Tmem2 / Cemip |
研究実績の概要 |
本年度はコンディショナルノックアウトマウス作製の準備をしていたためマウスの獲得には至らなかったため、細胞株の作製を行った。前立腺癌細胞株TRAMP-C2は細胞膜貫通型ヒアルロン酸分解酵素Tmem2の発現が高いことがわかっているため、CrisprCAS9システムを用いた遺伝子改変によりTRAMP-C2のTmem2の欠損株の作製を行った。また一方、マウス膀胱癌細胞株MBT-2はTmem2はそれほど高くないこと、また分泌型ヒアルロン酸分解酵素Cemipが種々の癌種において発現量と予後に相関があることからMBT-2ではヒアルロン酸分解酵素Cemipの強制発現株の作製を行った。本研究では免疫系細胞による生体での抗腫瘍効果の検討を行うため、焦点を当てている前立腺癌に加え、すでに免疫療法が有効である膀胱がんのモデルを使用し、並行して検討することとし、前立腺癌および膀胱がんのヒアルロン酸分解酵素発現を調整した細胞株を作成することにした。 両細胞株の樹立はおおむね完了したがまずは、MBT-2のCemip大量発現細胞が安定的に得られたため、こちらを使用し同種マウスのC3Hマウスに移植しCemip大量発現による腫瘍細胞の生体内での増殖に与える影響について予備実験を行った。Cemip大量発現細胞はMBT-2親細胞と比較して大きい腫瘍を形成する傾向にあることが明らかになった。次年度はN数を増やして検討するとともに、腫瘍増大化のメカニズムにヒアルロン酸分解酵素がどのように影響を与える影響かを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの準備には手間どっているが、細胞株の作製、また腫瘍モデルの予備実験ができ、おおむね予想通りの結果が得られているため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
応募時には前立腺がんのみに焦点を当てていたが、すでに免疫療法が有効である癌種の一つ膀胱癌も研究に取り入れることでよりクリアに機構を解明できるのではないかと考え、今年度から並行して実験を組み立てている。今後も両モデルを検証し、ヒアルロン酸が腫瘍免疫にどう絡むかを検討する予定である。
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