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2021 年度 実施状況報告書

VHL病に伴う腎細胞癌のクローン進展の解明と治療戦略の基盤の確立に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K09536
研究機関東京大学

研究代表者

久米 春喜  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (10272577)

研究分担者 佐藤 悠佑  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20372378)
片岡 圭亮  国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (90631383)
山田 雄太  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10376452)
川合 剛人  東京大学, 医学部附属病院, 助教(移行) (60343133)
杉原 亨  自治医科大学, 医学部, 講師 (20529127)
田口 慧  杏林大学, 医学部, 助教 (40625737)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードVHL病 / 腎細胞癌 / 免疫環境
研究実績の概要

東京大学医学部附属病院泌尿器科において手術を行ったVHL病に伴う淡明細胞型腎癌10症例30腫瘍について、DNAおよびRNAを抽出し全エクソンシークエンシングによる網羅的な遺伝子変異解析、RNAシークエンシングによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。
その結果、VHL遺伝子の生殖細胞系列変異のほか、PBRM1、BAP1、SETD2、TP53、PIK3CAなどドライバー変異と思われる体細胞性変異を検出した。また、同一患者であっても異なる腫瘍であれば、遺伝子変異のプロファイルは大きく異なっており、VHL病患者において多発する腎癌は、それぞれが独立して発生していることが示唆された。また、ドライバー変異と考えられる遺伝子変異の内容は、非家族性の淡明細胞型腎細胞癌とほぼ同様であった。
また、遺伝子発現解析の結果をもとにそれぞれの腫瘍における免疫環境に関する検討を行った。免疫関連の遺伝子の発現状況に着目することで、腫瘍に浸潤するリンパ球の状態を推測した。その結果、免疫関連の分子の発現が強い”hot tumor”と、それ以外の”cold tumor”に分類することができた。同一症例における複数の腫瘍の免疫環境を比較したところ、同一症例であれば免疫環境も一致するケースが多かったものの、一部の症例では腫瘍によって”hot tumor”と”cold tumor”が混在する場合もあった。このことから、個々の腫瘍における免疫環境は、患者個人に依存しない場合もあることが明らかにされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画当初の想定通りの検体収集ができ、VHL病に伴う淡明細胞型腎細胞癌におけるゲノム解析の研究としては、世界的に見ても有数のものとなっている。新型コロナウイルスの蔓延に伴い一時的に実験の進捗が停止した時期もあったが、検体の集積は継続して行っていた。実験や解析についても現在は問題なく進行している。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、遺伝子変異解析だけではなくRNAシークエンシングによる遺伝子発現解析も行うことにより、腫瘍間の免疫環境の差異を検討することができた。計画は順調に進んでおり、2022年度中の論文投稿を目指す。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの蔓延に伴う研究活動の縮小により、本研究についても進捗が停止した時期があったため。現在は研究活動を再開しており、引き続き研究に必要な物品や旅費を中心に使用していく予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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