研究課題/領域番号 |
20K09538
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
馬嶋 剛 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90625138)
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研究分担者 |
大橋 浩二 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (10595515)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フレイル / 排尿筋低活動 |
研究実績の概要 |
48週齢のSAMP8マウス及びSAMR1マウス(対照群)を運動負荷群と非運動負荷群に分けた。運動負荷は、トレッドミルを週5回、6週間行った。非運動負荷のSAMP8マウスは、他の3群に比較し、体重の有意な低下が認められた。 SAMP8の非運動負荷群は、他の3群に比較して有意に大腿四頭筋及びヒラメ筋の重量が低下した。SAMP8マウスの運動負荷群は、SAMP8マウスの非運動負荷群に比べて、有意にこれらの骨格筋の重量が増加した。HE染色の結果、SAMP8の非運動負荷群から採取した骨格筋の筋繊維の面積は、他の3群に比較して有意に低下した。一方、SAMP8の運動負荷群から採取した骨格筋は、SAMP8の非運動負荷群の骨格筋に比較し有意に筋繊維の大きさが増加していた。 膀胱内圧測定では、非運動負荷のSAMP8マウスは、SAMR1マウスに比較し、残尿量の増加、non-voiding contractionの増加、排尿効率の低下が認められた。一方、運動負荷のSAMP8マウスは非運動負荷のSAMP8マウスと比較し、これらの変化がいずれも有意に改善していた。SAMR1マウスにおいては、運動群と非運動群の間に膀胱内圧測定上の指標で有意な差は認められなかった。 organ bath studyをしたところ、非運動負荷のSAMP8マウスから採取した膀胱は、非運動負荷のSAMR1マウスから採取した膀胱に比較し、筋収縮力の有意な低下が確認された。一方、運動負荷のSAMP8マウスから採取した膀胱は、非運動負荷のSAMP8マウスから採取した膀胱と比較し、筋収縮能の有意な増加が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究責任者の所属が変更したため、準備や実験開始のための手続きなどに時間を要したこと、また人員の関係で一つ一つの実験を進められる速度が予定より遅くなった。また、臨床研究に関しては所属先の倫理委員会の承認を新たに得る必要があり、未だ進められていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
①SAMP8マウス及びSAMR1マウス(対照群)の運動負荷群と非運動負荷群、それぞれから採取した骨格筋におけるマイオカインの濃度をELISA法により測定する。 ②各種マイオカイン遺伝子、またはgreen fluorescence protein遺伝子を搭載したアデノウイルスベクター(1×109 pfu)をSAMP8マウスの内転筋に投与する。(a) 内転筋及び血中におけるマイオカインの発現量(RT-PCR法及びウェスタンブロット法)、(b) 膀胱収縮機能評価(膀胱内圧測定及びorgan bath study)、(c) 膀胱血流評価(2D レーザー血流計)、(d) 膀胱における炎症性サイトカインの発現量(ELIZA法)、(e) 膀胱の組織学的変化やアポトーシス、線維化(HE染色、TUNEL染色、マッソントリクローム染色) ③上記実験によって確認された、排尿機能に影響のあるマイオカインをノックアウトしたマウスを作製する。マイオカインの本来的な膀胱収縮機能に対する作用について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り実験計画がやや遅れており、計画案の立案当初購入予定であったPCRやELISAのための試薬が昨年度必要にならなかった。また予定していた動物実験の遅れもあり、購入した動物の数も予定量に達しなかったため、購入費用が予定より下回った。次年度には予定通りこれら購入し、実験を行う予定である。
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