研究課題/領域番号 |
20K09544
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
安藤 亮介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30381867)
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研究分担者 |
田口 和己 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (00595184)
鈴木 貞夫 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20226509)
安井 孝周 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40326153)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 尿路結石 / インスリン抵抗性 / メタボリックシンドローム / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
研究課題「尿路結石の新規予防法開発を目指したインスリン抵抗性改善に関わる生活習慣の同定」については、愛知県岡崎市で実施された「岡崎研究」のベースライン登録者7,587名を対象にデータ解析が行われた。ベースライン時に尿路結石既往のない4,007名(35-79歳:男性2,084名、女性1,923名)を追跡調査した。対象者をHOMA-IRとインスリン濃度により、コントロール群(HOMA-IR2.5未満かつインスリン濃度15.0μU/mL未満)、中等度IR群(HOMA-IR2.5以上かつインスリン濃度15.0μU/mL未満)、高度IR群(HOMA-IR2.5以上かつインスリン濃度15.0μU/mL以上)の3群に分けた。各群間で、ベースライン時の調査項目を比較した。尿路結石発症に対するオッズ比を、ロジスティック回帰分析を用いて検討した。追跡期間中、男性97名(4.7%)、女性45名(2.3%)が尿路結石を発症した。男女ともにインスリン抵抗性が高度になるにつれて、BMI、腹囲、収縮期血圧、トリグリセリドが高く、HDLコレステロールが低値であった(p for trend <0.0001)。多変量解析の結果、男性の高度IR群ではコントロール群と比較して尿路結石発症に対するオッズ比(95%信頼区間)が2.91 (1.02-8.25)であり、有意なリスク要因であった。一方、女性においてはインスリン抵抗性と尿路結石の発症に関連を認めなかった。本研究結果から、男性においてインスリン抵抗性改善に着目した薬剤・サプリメント、生活習慣改善による尿路結石の一次予防が期待できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題「尿路結石の新規予防法開発を目指したインスリン抵抗性改善に関わる生活習慣の同定」については、男性においてインスリン抵抗性と尿路結石発症との間に因果関係を認めることが証明された。また、本研究に併せて尿路結石と生活習慣病との関連を示した論文を英文雑誌に発表することができた。今後、インスリン抵抗性に影響を及ぼす生活習慣について検討をおこなう。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を推進していくためには、「岡崎研究」の研究参加者のデータ入力および、データクリーニングの効率化が必要である。そこで、研究参加者のデータ入力および、データクリーニングに携わる研究員の増員を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
インスリン抵抗性に着目した新しい尿路結石の予防法を開発するために、[1] インスリン抵抗性の改善につながる生活習慣の同定と尿路結石予防への応用[2] インスリン抵抗性の観点からみた尿路結石発症メカニズムの解明[3] 尿路結石の予防から、将来の慢性腎臓病・重篤な心血管疾患の発症予防への発展の3つの研究を行う予定である。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定していた研究を進めることができなかった。このため次年度使用が生じた。次年度は研究[1]の遅れを取り戻し、[2]も進めて行きたい。
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