研究課題/領域番号 |
20K09554
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
武田 裕司 山形大学, 医学部, 准教授 (90302299)
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研究分担者 |
加藤 智幸 山形大学, 医学部, 准教授 (40396560)
斉藤 真一 山形大学, 医学部, 助教 (90536674)
奈良 英利 石巻専修大学, 理工学部, 准教授 (00375338)
浅尾 裕信 山形大学, 医学部, 教授 (80250744)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤治療 / 炎症 / 好中球 / 抗腫瘍活性 / 免疫抑制活性 / MDSCs / 腎癌 |
研究実績の概要 |
生物製剤の開発に伴い、様々な免疫治療が確立されている。しかし、その治療の方法は、必ずしも個々人に最適化されていない。そこで、我々は、好中球に着目した。それは、古典的貪食細胞としてではなく、分化成熟中の「炎症の質」の違いにより、様々な機能に分化するモザイクな 細胞集団の好中球の姿に着目している。これらの好中球はmyeloid-derived suppressor cells (MDSCs)と呼ばれ、腫瘍細胞特異的T細胞やNK細胞の機能抑制を介し て抗腫瘍免疫を抑制していることが示唆されている(Clin Cance Res. 2012 17: 4887)。そこで、本研究では、治療前・治療中のMDSCsの変動を解析し、治療反応性や副作用発症などと連動する指標を検討している。 我々は、以前の研究で、末梢血中の骨髄系細胞(好中球・単球)をフローサイトメトリー測定する事で、複数のMDSCsの指標を得る方法を樹立した(Tohoku J Exp Med 249:203-212, 2019; Methods Mol Biol 1916:177-193, 2019; Clin Exp Immunol 186:373-386, 2016; )。本研究では、癌治療前・治療中の末梢血中のMDSCsの指標を解析し、臨床結果と関連して変動するMDSCsの指標を明らかにすることで、最適な免疫治療のTPO [時(time)・所(place)・場合(occasion)]の探索を行う。「最適な免疫治療のTPO」を明らかにすることが出来れば、最終的には、がん免疫治療・自己免 疫疾患治療・臓器移植など、個々人に最適化された治療の開始・終了の指標に応用することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年度からの継続で、腎癌患者の96症例の末梢血検体の測定を行った。現在、全ての症例についての臨床結果は得られていないのでまだ、少数例であるが、MDSCsに関連する分子について、(1) 癌治療不応答となる発現パターンと、(2)免疫関連副作用が発症するパターン、そして、(3)完全奏功例のパターンを見出している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、未解析の臨床結果を得て、「最適な免疫治療のTPO」の基盤的知見を得たいと考えている。また、現在、「最適な免疫治療のTPO」のより普遍的指標を得る試みとして、癌免疫誘導時のマウス末梢血とヒト完全奏功症例の末梢血を比較する準備をしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が生じた理由として、(1)前年度から続く、新型コロナウイルス禍による治療患者数減少に伴うエントリー数減少により消耗品の使用が抑制されたことと、前年度の差額繰越金にて試薬等を購入したため。(2)学会参加の旅費として使用を予定していたが、新型コロナウイルス禍による学会が中止、および、オンライン参加となり、旅費の支出の必要がなくなった。(2)回収したmRNAを用いてたRNA網羅解析の委託解析を次年度に計画しているため。(3)論文掲載費用に充てることが出来るように準備をしているため。の以上の理由により、繰越金が生じた。
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