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2021 年度 実施状況報告書

希少糖D-alloseを用いた新規腎細胞癌治療の構築:抗腫瘍メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K09559
研究機関香川大学

研究代表者

田岡 利宜也  香川大学, 医学部, 助教 (10403784)

研究分担者 杉元 幹史  香川大学, 医学部, 教授 (10243768)
筧 善行  香川大学, 大学本部, 学長 (20214273)
張 霞  香川大学, 医学部, 助教 (30524061)
松岡 祐貴  香川大学, 医学部附属病院, 助教 (40552807)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード腎細胞がん / 希少糖 / D-allose
研究実績の概要

希少糖は「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」と定義され、香川大学は独自技術により、すべての希少糖を生産できる「世界で唯一の研究機関」である。 一方、腎細胞癌は、Glucose Transporter高発現によるD-glucoseの取り込み過多とGlycogenの蓄積を特徴とする癌種で、本開発課題は「希少糖が、高い糖代謝能を有する腎細胞癌に蓄積し、その特異な生理活性が抗腫瘍効果に繋がる」との独創的な着想のもと開始された。
本研究課題が対象とする根治切除不能腎細胞癌は、5年生存率で13.0%と報告されるなど、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が導入された現在においても、未だ満足できる治療アウトカムに達しておらず、新規治療薬を用いた治療戦略の構築は喫緊のunmet-needsである。
現在までに本研究課題は、希少糖生産で基本構造体となる11種類の希少糖のうちD-alloseが腎細胞癌に対し最も強い抗腫瘍効果を発揮すること、そしてD-alloseが泌尿器癌(腎細胞癌、膀胱癌、前立腺癌)のうち腎細胞癌で最も多く取り込まれ、かつ低濃度から抗腫瘍効果を発揮することを明らかとし、続いて実施した腎細胞癌細胞を用いたXenograft mice modelの経口投与実験においても、D-alloseが腫瘍組織へ移行し、かつ抗腫瘍効果を発揮することを証明した。
現在、本研究課題は遺伝子発現プロファイル解析の結果を基盤とし、D-alloseの腎細胞癌に対する抗腫瘍メカニズム・癌細胞内への取り込みメカニズムの解明に取り組むとと共に、D-alloseの経口投与の成果を基に、将来の臨床応用を目的とした前臨床研究の準備を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究課題はD-alloseの腎細胞癌に対する抗腫瘍メカニズムを解析すべく、遺伝子発現プロファイル解析結果を基盤とした研究を実施し、現在までにD-alloseが腎細胞癌細胞におけるThioredoxin-interacting protein(TXNIP)の発現を誘導し、それに続く細胞内活性酸素の増加から、最終的にcell viabilityの 低下に至る抗腫瘍メカニズムを、抗酸化剤を用いた追加研究にて補強した。加えて、代謝解析を基に、D-alloseによる解糖系抑制効果を同定したほか、経口投与実験で得た組織検体の評価も進んでいる。以上より本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

本研究課題はD-alloseの腎細胞癌に対する抗腫瘍メカニズムの確立と取り込みメカニズムの解明を主な研究内容として挙げている。 現在までに、D-alloseによるTXNIPの発現亢進から細胞内活性酸素の増加を経て、cell viability抑制効果に至るメカニズムのほか、解糖系抑制効果も明らかとしており、今後それらの追加補強実験に移行する(TXNIPを標的とするRNA干渉実験)。
一方、D-alloseの細胞内への取り込みメカニズムの解明においてはD-alloseを取り込む細胞と取り込まない細胞を既に明らかとしており、それら泌尿器癌細胞の遺伝子発現プロファイル解析の結果を基に、今年度はD-alloseの細胞内取り込みの有無で2群に分け、遺伝子発現解析結果の群間比較により、D-alloseの細胞膜通過を担当するトランスポーター候補を抽出し、最終的に腎細胞癌細胞への選択的取り込みメカニズムの解明に繋げる予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度旅費が不要となったこと、既存物品で研究し得たことより、当該年度の所要額と実支出額との差異が大きくなった。しかし、当該年度の研究進捗は順調であり、次年度予定の研究費用もあることから、問題ないと判断している。

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公開日: 2022-12-28  

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