研究課題/領域番号 |
20K09566
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
鳥本 一匡 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10382293)
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研究分担者 |
藤本 清秀 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50264867)
可野 邦行 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (50636404)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 間質性膀胱炎 / リゾリン脂質 / 血液バイオマーカー |
研究実績の概要 |
2019年1月より2月に間質性膀胱炎(ハンナ型)群 25名(女 25)(70.4±10.9歳)と対照群 25名(女 25)(66.1±8.5歳)より採血し、間質性膀胱炎・膀胱痛症候群(IC/BPS)の血液バイオマーカー候補として1-linolenoylglycerophosphocholine(1-LPC18:2)、γ-glutamylisoleucine(γ-Glu-Ile)、1-arachidonylglycerol(1-AG)の有用性に関する前向き検証を行った。1-LPC18:2についてはすでに報告したように、IC/BPS群(症状/問題スコア 12.8 ± 3.7/10.6 ± 2.4)と対照群(症状/問題スコア 1.7 ± 2.3/0.6 ± 1.0)の間には有意な差があり(27.9 ± 6.3 vs 40.4 ± 15.1 μg/mL, p<0.0003)、カットオフ 28.4 μg/mLとすると感度 68%、特異度 84%であった。一方、γ-Glu-Ile(11.25 ± 4.418 and 9.422 ± 2.361 ng/mL, p=0.1971)および1-AG(0.2789 ± 0.1442 and 0.2543 ± 0.1195 ng/mL, p=0.5669)の血中濃度は両群間で有意差がなかった。以上より、IC/BPS血液バイオマーカーとしてγ-Glu-Ile と1-AGは統計学的に否定され、1-LPC18:2のみが有用であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の研究実績につづく研究目的である血液バイオマーカーの血清1-LPC18:2濃度が間質性膀胱炎(ハンナ型)、膀胱痛症候群、過活動膀胱の患者群で有意差があるか、すなわち類似した頻尿を呈する3疾患を鑑別する能力があるかを検討するための検体採取を進めている。すでに予定数の約80%を採取しており、今年度中に検証を行える見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
間質性膀胱炎(ハンナ型)、膀胱痛症候群、過活動膀胱の各患者群(30例/群×3群)の血中1-LPC18:2濃度に群間差をあるかを検証する。続いて、LPCそのものはメディエーター分子として機能しないが、血液中においてオートタキシン(ATX)と呼称されるリゾホスホリパーゼDによって酵素反応を受けることでリゾホスファチジン酸(LPA)が産生されるため、LPAの主要な基質として認識されている。1-LPC18:2がバイオマーカーとなる背景を調べるため、リン脂質濃度、ATX活性、LPC/LPA濃度、リポ蛋白濃度などを測定する。
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