研究課題
目的: 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群(IC/BPS)の診断は、自覚症状と経験的な膀胱鏡所見に依存するため困難である。 われわれは、IC/BPS患者群と下部尿路症状(LUTS)のない対照被験者群の血清を用いてメタボロミクスを行い、診断バイオマーカの候補として血清 1-リノレオイル-グリセロ-ホスホコリンを同定した。 しかし、その血清中レベルは、ハンナ型IC (HIC)、BPS、および 過活動膀胱(OAB)の群の方が、対照群よりも低く、OABとIC/BPSを識別する能力はなかった。そこで、より良いバイオマーカを特定するために、4群の血清を用いて 2 回目のメタボロミクスを行った。対象と方法: HIC (n = 20)、BPS (n = 20)、OAB (n = 20)、および LUTS なし (n = 15) の被験者を登録した。すべての BPS 患者では、膀胱水圧拡張のあと粘膜出血を呈した。液体クロマトグラフィー質量分析を使用して、血清中の 323 の代謝産物に対してメタボロミクスを行った。結果:部分最小二乗判別分析により、アナンダミド、アシルカルニチン(18:2)、リノレオイルエタノールアミド、アラキドン酸など血清中レベルは、HIC または BPS を有する群で、OAB群または対照群よりも低いことが確認された。特にアナンダミドの血清中レベルの差は顕著で、IC/BPSの識別能は曲線下面積0.9321、感度80.00%、特異度88.57%であった。結語: 血清アナンダミドは、IC/BPS の診断バイオマーカとして最適な候補である可能性がある。 主な候補は、リノール酸代謝物、または側鎖にリノール酸を有するものである。これは、リノール酸の代謝異常が IC/BPSの発症に関与している可能性があることを示唆している。
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