研究課題/領域番号 |
20K09570
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
デベラスコ マルコ 近畿大学, 医学部, 助教 (20449838)
|
研究分担者 |
植村 天受 近畿大学, 医学部, 教授 (90213397)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 前立腺癌 / 腫瘍微小免疫環境 / 複合免疫療法 / 遺伝子改変マウスモデル |
研究実績の概要 |
我々が開発したトランスジェニックマウス前立腺癌モデル(去勢感受性癌および去勢抵抗性癌モデル)を用いて、内分泌治療(ADT)やアンドロゲンレセプターをターゲットにした治療(ART)および他の増殖pathway(Jack1/2、PI3K/AKT、Parp)を標的とした治療に加え、抗PDL1抗体や抗CTLA4抗体を用いて免疫チェックポイント分子阻害による免疫治療による腫瘍微小免疫環境の変化などについて、preclinical研究から得られた分子レベルのエビデンスを参考に基礎的検討行った。具体的には、去勢感受性癌モデルにおけるAR標的治療前後における腫瘍浸潤免疫担当細胞のプロファイルや各種predictiveな分子の発現についてIHCにて検討した。腫瘍に浸潤した免疫担当細胞のphenotypeについてはジェントルMAXを用いたFCMにて検討した。続いて、去勢抵抗性癌モデルにおけるARTや分子標的薬および抗PDL1治療前後の変化について同様の方法で検討してきた。研究結果として、ADTにより腫瘍の微小免疫環境は炎症性分子をエンハンスすること、Jac1/2阻害と抗PDL1の併用により、ADTによる免疫抑制効果を抑制すること、樹状細胞の再活性化と抑制性T細胞の不活性化による抗腫瘍効果について、一部2020年の日本癌学会で報告し、追加報告として第18回臨床腫瘍学会で報告した。他の成果については、前立腺癌マウスモデルを用いた研究で、①ADTと腸内細菌プロファイルについて、②抗PDL1治療やJAK1/2阻害治療と腸内細菌プロファイルの関連について、また、③Apartamide治療と腫瘍内の免疫環境の変化について、2021年4月のAACR(Virtual)で報告している(Abstract#4577、#3741、#3603、#3516)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「我々が開発した遺伝子改変前立腺癌マウスモデルを用いて、腫瘍の免疫微小環境とARシグナル阻害との関係について検証すると共に、免疫チェックポイント阻害薬と化学療法・ARシグナル阻害薬などとの複合免疫療法の有効性について、分子レベルの詳細な解析を行う」という主要目的に対して、数多くの基礎研究を同時進行しながら遂行してきた。この一年間でがん基礎研究のトレンドも変化してきており、新しい目標も研究内容を修飾しながら検討する必要があり、microbiomeの研究を追加し、成果の一部を世界に発信できており、今後の成果も十分期待できると確信している。
|
今後の研究の推進方策 |
前述の「現在までの進捗状況」にも記載したように、研究目的や内容を最近の状況を鑑みながら微調整し、着実の結果が出てきており、日本癌学会やアメリカ癌学会に一部の結果を複数報告できている。以上から、現在の研究実態を維持し、これまでの結果をUpgradeし報告するとともに、新しい結果を輩出したいと考える。
|