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2020 年度 実施状況報告書

難治性膀胱痛症候群の病態分類と重症度を評価可能する尿中バイオマーカーの確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K09571
研究機関東北大学

研究代表者

川守田 直樹  東北大学, 大学病院, 講師 (00617524)

研究分担者 伊藤 明宏  東北大学, 医学系研究科, 教授 (70344661)
佐竹 洋平  東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70783984)
方山 博路  東北大学, 大学病院, 助教 (90466558)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード慢性骨盤痛症候群 / 膀胱虚血
研究実績の概要

膀胱部に強い持続痛がありながら、尿路に感染や炎症所見を認めない、原因不明・難治性の慢性骨盤痛症候群や骨盤痛症候群は、これまでの検査では、同様な症状を呈する、子宮内膜症に不随する膀胱症状や、薬剤性の膀胱炎と鑑別が困難であり治療に難渋している。
われわれの研究室では、子宮内膜症のラット病態モデルを用いて、骨盤腔の子宮内膜症が、膀胱に炎症を惹起する尿路感染や、膀胱腫瘍等が無いにも関わらず、膀胱を支配する骨盤神経叢の知覚を過敏にすることにより(骨盤神経クロストーク)症状を引き起こすことを見出した。さらに、そのメディエーターの1つとして、膀胱粘膜の温度感受性チャネル(TRPA1)が過剰発現していることを報告した。また、膀胱の血流障害や、殺細胞性抗がん剤代謝物による膀胱の化学的障害は、膀胱知覚過敏・疼痛などの症状を引き起こすことや、その病態が、複数のメディエーターの関連とともに、動物実験モデルを用いて明らかにされてきた。
よって、現在病態分類が困難なこれらの疾患の鑑別のため、尿中代謝物に着目し複数の代謝物をグループ化・スコア化することにより、病態分類可能なツールを作成することを目的として本研究を開始した。
尿中代謝物は、膀胱の組織内の遺伝子、代謝物に比して微量であるため、まず膀胱組織で病態を特徴づけるメディエーターの探索を行った。病態モデルは、まず動物モデルとして確立ている、膀胱虚血モデルを用いた。膀胱組織のRNAをマイクロアレイにより網羅的に解析したところ、一酸化窒素の受容体の1つである可用性グアニル酸シクラーゼ(sCG1a.1b)や神経再生に関連するEph受容体リガンドが候補に挙がってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、膀胱虚血モデルのラットの膀胱組織から、病態に特徴的なメディエーターの候補を決定することができた。今後は、想定している複数の疾患い特有な病態の分類を行うために、他の病態モデル(子宮内膜症モデル、薬剤性膀胱炎モデル)において、同様に病態を特徴づけるメディエーターの探索が必要である。他の病態モデルの確立は、われわれの研究室ではすでになされており、今後は同様の手技を用いて、メディエーターの候補を選定していくことを予定している。よって、ここまではおおむね順調に推移していると考える。
さらに、尿中組織で検出可能なメディエーターへと絞り込みを行い、本来の研究目的である、尿中代謝物での分類へを研究を進める予定である。

今後の研究の推進方策

まず、子宮内膜症病態モデル、薬剤障害性膀胱炎モデルを作成し、各々の膀胱組織を採取する。各々の膀胱組織から、病態を特徴づけるメディエーターをマイクロアレイにより、抽出を行う。さらに、これらの候補メディエーターについて、各々の病態モデルの尿中成分を解析し、病態分類可能であるか評価する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度において、情報収集の予定として計上していた、旅費が、COVID19の感染拡大に伴いオンライン開催となったため、参加費のみの使用となり、次年度使用額に組み入れることとなった。
2021年度は、尿中のマイクロアレイを含め、分子生物学的解析を用いた、分子標的のメディエーターの解析の費用に充填する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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