研究課題/領域番号 |
20K09575
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
芳山 充晴 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (20422694)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 排尿障害 / 脊髄損傷 / マウス / 神経栄養因子前駆体 / グルタミン酸受容体 / 膀胱 / 外尿道括約筋 |
研究実績の概要 |
生後9週の雌C57BL/6マウスの脊髄(第8―第9胸髄)を完全切断した。その後4週間にわたり連日の徒手的排尿管理を行い、慢性脊髄損傷マウスを作製した。同脊髄損傷モデルマウスを用いて実施した膀胱内圧と外尿道括約筋筋電図の同時測定では、膀胱収縮に先行し外尿道括約筋活動が活性化(排尿筋尿道括約筋協調不全、Detrusor-Sphincter Dyssynergia=DSD)し、外尿道括約筋(External Urethral Sphincter=EUS)活動の中途静止に続き膀胱内圧の低下と膀胱内注入液の排出が起きることを確認した。1回の膀胱収縮おいてEUS活動中途静止(EUS-silent)が尿排出において重要であることが示された。次に、代謝型グルタミン酸サブタイプ1a(mGluR1a)ノックアウトマウス(KO)に対しても慢性脊髄損傷を作成し、野生型マウス(WT)と下部尿路機能における比較を行った。mGluR1aは齧歯動物の腰仙髄外尿道括約筋神経核(オヌフ核)に豊富に存在している。mGluR1a-KOでは、WTと比較しEUS-silent頻度が顕著に減少していた。この結果は、mGluR1aが慢性脊髄損傷マウスの排尿時外尿道括約筋活動抑制に関わっていることを示している。 国際共同研究活動の一環として、アメリカの研究者2名と共に、国際尿禁制学会(International Continence Society)主催のインターネット・セミナーを配信した。代表研究者(芳山充晴)の発表のタイトルは、”Translation of In Vivo Preclinical Research: Problems and Solutions - II. Preclinical Experimental Design”で、齧歯動物を用いた下部尿路研究の実験手技、及び、解釈に関するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において、県外在住の代表研究者の往来が著しく制限された。加えて、実験補助者のスケジュールにも悪影響した。このため、慢性実験が主である研究計画において実験遂行が極めて困難である期間が長く続いたことが大いに影響した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍における県境を越える往来の自粛は緩和の方向で進んでいる。これまでは研究推進において多大なる妨げとなっていたが、感染蔓延状況を見ながら来県し、必要な急性実験を優先的に実施することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の最中、実験遂行が遅れる見通しであった。それ故、購入検討していた物品を拙速に調達する必要がなかった為。令和4年度に現況が改善され予定している実験を行うことが期待できるので、物品の購入を速やかにすすめて行くよう計画している。
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備考 |
国際尿禁制学会(International Continence Society)主催のインターネット・セミナーを配信。講演内容は、齧歯動物を用いた下部尿路研究の実験手技、及び、解釈に関して。
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