研究課題/領域番号 |
20K09576
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
永井 崇 信州大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50514353)
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研究分担者 |
今村 哲也 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (00467143)
石塚 修 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20184541)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | nicotine / cold stress / skin stimulation / menthol / renal function / polyuria / smoking cessation |
研究実績の概要 |
10-11週齢雌SDラットに2mg/kg/体重/日のニコチン酒石酸塩を皮下埋め込み型浸透圧ポンプを用いて投与するモデルを作成し,対照群と併せて3ヵ月飼育し寒冷暴露時の排尿状況、皮膚(手/腕)へのメンソール塗布刺激による排尿状況、24時間排尿を評価した。また、2ヵ月ニコチン投与した後、1ヵ月投与中止した禁煙(休薬)モデルを作成しこの3群での評価を行った。ニコチン投与群では対照群と比べて寒冷暴露による排尿回数の増加、一回尿量の減少傾向が見られた。またメンソール(濃度0,5,7,10% 各0.1ml)塗布によりニコチン投与群では対照群に比べてメンソール含有濃度に関わらず排尿回数の増加、一回尿量の減少傾向が見られた。禁煙モデル群はニコチン投与群と比べてパラメーターに有意な改善を認めなかった。前肢の皮膚及び膀胱粘膜のTRPM8発現がニコチン投与群、禁煙モデル群では対照群と比べて有意に増加していることが免疫組織染色による画像解析から分かった。また、ニコチン投与群では膀胱粘膜のuroplakin Ⅲ発現が対照群に比べて有意に減少していることが免疫組織染色による画像解析から分かった。24時間排尿評価についてはニコチン投与群で暗期12時間における排尿回数、暗期12時間尿量,飲水量が対照群に比べ有意に増加した。一方、明期12時間における排尿回数や明期12時間尿量に目立った差はみられなかった。禁煙モデル群はニコチンモデル群と比べて有意な改善を認めなかった。ニコチンの長期投与はTRPM8発現を増加させ、冷えストレスによる頻尿を増悪しやすいこと、皮膚へのメンソール刺激が非投与群より頻尿を誘発しやすいことが分かった。また禁煙を行っても早期には改善しない事が示された。今後腎機能評価として採取した腎及び尿、血液を組織分析をするとともに尿、血液の成分分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
皮膚及び膀胱の画像解析に時間を要し、血液や尿の成分分析や腎の免疫組織染色による画像解析による腎機能評価がまだ行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
腎機能評価として血液、尿成分の解析を進めるとともに腎実質の画像解析を行う。また、寒冷暴露時の排尿および皮膚(手/腕)へのメンソール塗布刺激による排尿に関するニコチン投与の影響、禁煙効果について論文作成を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
血液及び尿の成分分析が行えなかったことが要因と考えている。次年度使用額は令和4年度請求額と合わせて、免疫組織分析、血液/尿成分分析、論文作成に当てる。
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