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2022 年度 実施状況報告書

腎癌幹細胞は腫瘍内不均一性を示すか?ー淡明細胞型腎癌の根源的治療法を求めてー

研究課題

研究課題/領域番号 20K09582
研究機関横浜市立大学

研究代表者

近藤 慶一  横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (80363836)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードRenal cell carcinoma / Single cell / Microemvironment
研究実績の概要

腎癌症例に対する手術検体からのサンプリングを継続し、Single cell化処理を継続している。コラゲナーゼをベースとした酵素カクテルを調整することで組織検体からSingle cellを効率的に分離することは可能であったが、分離効率とその後の培養下での生存率が相反してしまう。後述するような遺伝子を抽出して行う実験には十分な細胞量収集することは可能となり論文化できたことは幸いであった(Jikuya R et al. iScience 25, 2002)。しかし本来の目的である癌細胞・腫瘍内血管内皮細胞・線維芽細胞を単離し、それぞれの培養環境を最適化する試みを継続しているが、腫瘍内微小環境の再生に必要なレベルにまで増幅する技術は未だ得られていない。
そのため本研究の最終年度も引き続き(1)酵素カクテルの組成など処理方法の改善並びに(2)Single cell化後の培養液や培養環境(ガス組成・温度など)の最適化を行い安定的なSingle cellからの培養技術の確立を目指していく。また前述の論文にあるように淡明細胞以外の組織についても同様のSingle cell化を行って病理組織に見られるような腫瘍内微小環境の違いを再構築し、組織型ごとに効果が異なる既存の腎癌治療薬及び新規候補薬を用いてその薬効薬理の違いを可視化することを目指す。
分離効率と培養効率の相反性が改善し難い場合を考え、予備実験としてSingle cellではなく細胞塊を用いた実験系を考えている

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度もCOVID-19の影響は残存していたが、上述したようにSingle cell化の効率を上げようとすると、その後の培養下での生存率が低下してしまうという問題点が克服できていないことが実験の遅れを招いている。

今後の研究の推進方策

依然としてSingle cellの回収率とその後の培養下での生存性には相反性が見られており、次年度以降の研究期間中も引き続きこの相反性を乗り越えることが目標となる。これまでは可能な限りキレイな(細胞種ごとに混入のない)状態で増殖効率を改善することのみを目標としていたが、技術的なBreak throughは見出せていない。そこで次年度の目標としては引き続き
1.酵素カクテル及び培養環境の最適化を目指し、元々の目標である腎癌の幹細胞の回収技術の開発を目指す。これが達成困難と考えられる場合には2へ進む。
2.各細胞成分が多いと推測される腫瘍塊を用いて微小環境の再現を試みることを考えている。腫瘍塊という形で臨床検体から細胞を回収し、薬物療法の効果判定などに用いるという技術は京都大学の井上正宏教授らが開発したCTOS法が知られており、必要な量の細胞を集めるという点では実現性の高い解決手段と考えている。しかしそこから幹細胞を単離し、培養するという技術が必要となるためあくまでも予備実験と考えている。
3. これらの実験から腎癌幹細胞の検出が可能と考えられた段階で、pT1b以上の腎癌手術検体からMultiple site samplingを行い、幹細胞レベルでの不均一性の検証に進みたいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Single-cell transcriptomes underscore genetically distinct tumor characteristics and microenvironment for hereditary kidney cancers2022

    • 著者名/発表者名
      Jikuya R, Murakami K, Nishiyama A, Kato I, Furuya M, Nakabayashi J, Ramilowski JA, Hamanoue H, Maejima K, Fujita M, Mitome T, Ohtake S, Noguchi G, Kawaura S, Odaka H, Kawahara T, Komeya M, Shinoki R, Ueno D, Ito H, Ito Y, Muraoka K, Hayashi N, Kondo K, et.al.
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 25(6) ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.isci.2022.104463.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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