研究課題/領域番号 |
20K09583
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
堀田 祐志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (90637563)
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研究分担者 |
木村 和哲 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00423848)
家田 直弥 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (00642026)
片岡 智哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20737928)
中川 秀彦 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80281674)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光応答性NOドナー / 勃起不全 / 神経障害 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
糖尿病や前立腺全摘手術後の患者では、NO 産生能が低下しているためPDE-5 阻害薬の効果が低いことが報告されている。これらの患者には、NO補充療法が有効と予想されるが全身への副作用から実用には至っていない。これまでに我々は光応答性NOドナーに着目し、光照射で勃起現象を制御できないか検討を進めてきた。光応答性NOドナーの開発と修正を繰り返し、最近では組織透過性が高い赤色光(630-690 nm)に応答するNOドナーである「NORD-1」の開発に成功した。さらに、NORD-1と光照射により生体(in vivo)レベルでの勃起反応を増強することにも成功した。本研究では、難治性EDに対する光応答性NOドナーと赤色光の有効性の検討をすすめることとした。 本年度は、難治性EDモデルとして初めに海綿体神経損傷EDモデルを用いた。損傷後4週目にEDモデルでは、海綿体神経刺激による海綿体内圧の上昇が低下した。このモデルに対してNORD-1を陰茎脚から投与し赤色光を照射したところ、明らかな内圧上昇の改善が見られた。このことからNORD-1と赤色光は神経障害性の難治性EDモデルの勃起機能を改善することが示唆された。次に当初予定していたもう一つのモデルであるストレプトゾトシン(STZ)投与により膵臓機能を低下させた糖尿病性EDモデルを使用してNORD-1と赤色光の効果を検討した。STZ投与後1週目で血糖値を測定し250 mg/dl以上を示す個体を使用した。STZ投与後4週目に勃起機能を陰茎海綿体内圧の測定により同様に評価した。STZ投与したラットでは海綿体内圧の上昇は明らかに減少したが、NORD-1を陰茎脚から投与し赤色光を照射したところ、明らかな内圧上昇の改善が認められた。このことから、重度糖尿病性EDモデルに対してもNORD-1と赤色光がED改善に有効であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた2種類の難治性EDモデル(神経障害モデルと糖尿病モデル)を用いてNORD-1と赤色光によるED改善効果を明らかにすることができた。既に再現性も取れており、当初計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度にNORD-1と赤色光による難治性EDモデルでのED改善効果が認められた。2022年度は摘出した組織を用いて組織学的評価、酸化ストレスや炎症について評価をすすめ安全性も検討する。また連日投与での効果の検証もすすめていく。
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