肺サーファクタント製剤が形成するミセルとウサギ羊水内に存在するミセル分子の超微細構造解析を行った。クライオ透過型電子顕微鏡により、親水基を外側に、親油基を内側に向けた肺サーファクタントミセルの分子構造を描出することが出来た。次いで、妊娠16週から40週のヒト羊水55検体中のミセル分子の有無を、ネガティブ染色法を用いて検討した。妊娠週数が進むほどミセルの検出率が高くなったことより、ヒト羊水中のミセル分子は胎児の肺成熟度の指標になり得ると思われた。本研究を進めることで、ヒト発生段階における肺-皮膚-消化器間の相互作用を解明し、新たな視点に立った初期経腸栄養剤の開発を目指している。
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