研究課題/領域番号 |
20K09599
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
谷村 憲司 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (80593988)
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研究分担者 |
山田 秀人 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (40220397)
笹川 勇樹 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40815304)
出口 雅士 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (50403291)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 炎症 / 発達 / 妊娠 / 胎児 |
研究実績の概要 |
妊娠中の母体の感染症や飢餓、過食などによる様々な胎児へのストレスがその児の自閉症などの発達障害、統合失調症などの精神疾患のリスクを上昇させることが知られています。脳を構成する細胞の一つであるミクログリアという細胞は、胎児期の早い時期に脳に定着して外敵から胎児の脳を守る働きをしていると考えられいます。さらに、ミクログリア細胞は、中枢神経が発達する過程で神経細胞の間の余分な連絡を断ち切ることによって適切な神経回路を作り上げることを可能にしています。本研究では、妊婦マウスがウイルス感染などの炎症や飢餓・過食などのストレスにさらされている状況を人工的に作り出し、2光子顕微鏡という特別な顕微鏡を使って生きた胎児マウスや思春期マウスのミクログリアの動きをリアルタイムに観察することで母体へのストレスが児の脳に及ぼす影響をミクログリアに焦点を当てて解明しようとしています。これまでにウイルス感染が起こった状態を人工的に作り出した妊娠マウスでは、何の処理もしていない正常な妊婦マウスと比べて胎児ミクログリアの動く速さは早くなっていましたが、生後10日目のマウスでは、逆にウイルス感染疑似母親マウスから生まれたマウスで遅くなっていることが分かりました。また、ウイルス感染疑似妊娠マウスではその胎児マウスの神経細胞の突起が正常妊娠マウスの胎児のそれより長く、神経細胞の本体がより小さくなっていいました。これらのことより母親の炎症によるストレスが胎児のミクログリア細胞の動きや形に変化を引き起こすことで神経回路の形成に影響している可能性があることが分かりました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響もあるがモデルマウス作成がうまくいかず、進捗が停滞している。
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今後の研究の推進方策 |
ウイルス感染疑似妊娠マウスについての検討をより進め、同時に飢餓モデル妊娠マウスや過食モデル妊娠マウスを作成し、同様の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響もあり、また、モデルマウスの作成の進捗が滞っているため研究に遅れが生じている。次年度には研究の遅れを取り戻すべくモデルマウスの作成に重点をおいて研究費を使用する予定。
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