研究課題/領域番号 |
20K09604
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
木村 麻衣 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (30812333)
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研究分担者 |
吉元 千陽 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00526725)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40178330)
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50382289)
河原 直紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70623495)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 卵巣明細胞癌 / GSK-3beta / HNF-1beta / NF-κB |
研究実績の概要 |
卵巣癌の中で明細胞癌は白金製剤を主体とする化学療法に対して抵抗性が高く、予後不良な疾患である。卵巣明細胞癌はHNF-1beta(hepatocyte nuclear factor-1beta)過剰発現が特徴的であり、HNF-1beta―USP28―CLASPIN経路がDNA損傷チェックポイント機構に重要なChk1のリン酸化を維持していることを報告した。しかし、HNF-1betaは様々な臓器に発現しているためにこれを阻害することは現実的ではなく、当経路に対する阻害薬も現存しないという問題点があった。さらなる治療標的をみつけるべくHNF-1betaが関わる新たなシグナル伝達経路を検索した。GSK-3betaに着目し、これが発現を調節し細胞生存に関わるNFκB(p65)のリン酸化を評価した。結果、GSK-3betaの干渉ではp65自体の発現量の変化は認めなかったが、リン酸化(Ser536)の有意な低下を認めた。更に、HNF-1betaの干渉によりGSK-3betaの発現量およびリン酸化(Ser9)が有意に低下し、p65のリン酸化(Ser536)の有意な低下も認めた。以上から、HNF-1betaはGSK-3betaの発現量の調節を介してp65のリン酸化を促進することで癌細胞の生存に寄与していることが示された。最後に卵巣明細胞癌皮下移植モデルマウスにGSK-3beta阻害薬であるAR-A014418を1mg/kg/dayで7日間投与したところ、コントロールと比較して有意に腫瘍増大抑制効果を認めた。以上から、HNF-1beta過剰発現を呈する卵巣明細胞癌においてHNF-1beta―GSK-3beta―P-p65経路は新たな治療標的となりうることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
先行研究の成果により確からしい仮説の立案が容易であり、研究計画も十分に練られていたため。
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今後の研究の推進方策 |
当研究により抽出された他の候補遺伝子について研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想より早く研究成果が得られたため。
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