研究課題
本研究は、若年発症の子宮体癌/子宮内膜異型増殖症(AEH)の臨床因子,病理学的因子,分子生物学的因子,遺伝学的因子を網羅的に明らかにし,治療効果や腫瘍予後,妊娠予後,最適なサーベイランス等についての新たな戦略を開発することを目的としている.研究対象の若年性子宮体癌/AEHとしては、当院で2016~2019年に初回治療として高用量黄体ホルモン療法を施行した38例の治療前の子宮内膜全面掻爬検体のFFPE標本の病変部よりDNAを抽出し、DNA量、Qualityの確認を行い、35例(子宮体癌(類内膜癌G1)17例とAEH18例)につき、当院で開発した遺伝子パネルであるPleSSision-Rapidを用いて、遺伝子発現やcopy number等の解析を行った。また、FFPE標本を用いて、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、p53等についての免疫組織化学染色も施行した。主要な病的遺伝子変異としてPTENやCTNNB1、PIK3CAの変異を認めることが多く、一方でPOLE遺伝子の病的変異が1例、MMR遺伝子(MSH2)の病的変異が1例のみで認められた。PTEN遺伝子病的変異例は変異なし例に比べて、有意に病変消失率が低く、また、PIK3CA病的変異例は変異なし例に比べて、無再発生存(RFS)が有意に不良であった。一方、免疫組織化学については、ER弱陽性例が6例、PgR弱陽性例が2例、p53部分陽性例が4例認められた。p53部分部分陽性例は陰性例に比べて、病変消失率が低い傾向にあった。既存の臨床病理学的因子や遺伝子パネルシーケンス、免疫組織化学の結果とRFSとの単変量解析の結果は、組織型とPIK3CA病的変異が有意な因子として抽出されたが、多変量解析では組織型のみが有意な因子として抽出された。
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