研究課題
現在、プラバスタチンによる妊娠高血圧症候群の予防、治研究の目的は、妊娠高血圧症候群(HDP)の予防方法、治療方法として期待されているプラバスタチンの投与に関し、投与量、投与期間がまだ十分に検討されていないことを踏まえて、投与量減量、投与期間短縮の検討を行うものである。昨今の社会的影響による実験の一時中止などのリスクを考慮し、動物実験の代わりに細胞実験を中心に投与量の減量に関して検討を行っている。投与時期に関しては2021年に発表されたRCTなどを含めヒトでのデータも蓄積していることから、投与量を中心に検討している。本年度は昨年度行った細胞実験をさらに継続、深化させた。細胞実験は1)ヒト栄養芽細胞誘導細胞、2)ヒト胎盤初代継代細胞を用いた。1)はヒトの妊娠高血圧症候群の研究でよく用いられる株であり、2)はヒトの分娩時に胎盤より得られたものであり、細胞実験の効果からヒトでの結果を予想しやすい。昨年度、sFlt-1,PlGFなどへの影響により定めた、プラバスタチンの至適濃度をもとに、細胞増殖、創部治癒、脈管形成に関して解析を行った。細胞増殖は大きな変化がないものの、血管内皮細胞の創部治癒効果を認め、さらに脈管形成に関しても横ばい~軽度上昇と、妊娠高血圧症候群の発症の予防につながる結果を得た。その他、浸潤関連因子なども測定はしたが、今まで指摘されているものでは著明な変化は認めなかった。この結果は既知のもの以外にも浸潤関連のものを増強する効果をプラバスタチンが持つことにつながる。このため、発現遺伝子のプロファイルに関し、網羅的に調べていくことを次のプロセスとして想定している。
2: おおむね順調に進展している
現在、プラバスタチンによる妊娠高血圧症候群の予防、治療に関してはヒトのデータが蓄積しているが、その投与量に関しては未だに十分検討されていない。まずは基礎研究が必要だと考えるが、それに対し、細胞実験ではあるが道しるべとなるようなデータを得たため。
今後は細胞実験で得られた結果をもとに、動物実験を行って行く予定であるが、細胞実験でのデータの網羅的遺伝子解析を優先して行うことも考えている。
コロナの影響により実験が少し後ろにもちこしている。そのため、昨年度したかったものを本年度することになり、実験の試薬含めて、後ろに持ち越した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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