研究課題/領域番号 |
20K09614
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
島 友子 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (00377285)
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研究分担者 |
中島 彰俊 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00436792)
戸村 道夫 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (30314321)
津田 さやか 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 精漿 / 父親抗原特異的制御性T細胞 / 母児免疫寛容 |
研究実績の概要 |
母児免疫寛容は半異物である胎児を母体が許容し妊娠が維持成立するための重要な免疫学的システムであり、精漿プライミングや父親抗原特異的Treg細胞や樹状細胞やNK細胞の関与が重要と考えられている。本研究では、マウス妊娠におけるCD25+NK細胞の機能解析や父親抗原特異的Treg細胞および免疫寛容誘導性DC、CD25+NK細胞の特異的マーカーの検索を行い、精漿が着床不全改善の治療につながるか検討を行い、これら実験のデータをもとに、ヒト正常妊娠や流産においての父親抗原特異的Treg細胞および免疫寛容誘導性DC、CD25+NK細胞の役割を研究することを目的としている。 マウス妊娠時に子宮や所属リンパ節に集簇するCD25+NK細胞の機能解析では、共培養の実験系で樹状細胞の表面マーカーに変化がみられることを確認した。これは樹状細胞の機能変化を反映している可能性があると考えられる。樹状細胞は制御性T細胞の分化にも関わり、母児境界ではこれら免疫細胞がともに影響しあっていると考えられる。CD25+NK細胞が樹状細胞の機能を変化させ、免疫寛容誘導性樹状細胞への機能分化に影響を与えるか、今後検討予定である。また、現在、マウス妊娠におけるCD25+NK細胞や樹状細胞、父親抗原特異的制御性T細胞の特異的マーカーを探索中である。あわせて制御性T細胞には末梢由来と胸腺由来の発生があり、胸腺由来父親抗原特異的制御性T細胞と末梢由来父親抗原特異的制御性T細胞の差異に関する研究も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウスアロ妊娠における父親抗原特異的細胞Tregや免疫寛容誘導性樹状細胞、CD25+NK細胞+NK細胞の特異的マーカー検索にあたり、セルソーターによる細胞回集を予定していたが、本施設での機器不具合が続いたこと、細胞数が少なく十分量の細胞回収するためにマウス妊娠数が影響することから、十分な実験結果が得られていない。 マウス妊娠におけるCD25+NK細胞の機能解析では、樹状細胞とCD25+NK細胞の共培養実験を施行しているが、こちらも本来少数の細胞群のため、実験準備に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では、マウス妊娠で父親抗原特異的Treg細胞や免疫寛容誘導性DC,CD25+NK細胞の特異的マーカ-が同定できた場合、ヒト妊娠でも確認したいと計画していたが、本課題中期間内では難しい可能性がある。細胞回収にも時間を要するため、いつでも解析が進められるようにヒト妊娠時の細胞回収は順次進めておく。また、実験経過中に新たにマウス胸腺由来父親抗原特異的制御性T細胞の知見を得られており、あわせて胸腺由来父親抗原特異的制御性T細胞の研究も推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に研究の論文報告予定あり、その投稿料や追加実験費として確保した。
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